昨今の自動車普及率の激増にともない、特に都心以外の地方に住む若い世代は、公共の乗物をあまり利用しないという方も多いのではないでしょうか。
また、これは完全なる個人的な見解ですが、未だ記憶に新しい2012年に関越自動車道で起こった高速バスの居眠り運転事故の衝撃が原因で、なんとなくバスを敬遠してしまう方も増えたのではないでしょうか。
とはいっても、特に車を保有していない方や高齢の方にとっては市営バスなどは大切な移動手段であり、また、自動車のあまり普及していない海外などでは交通の主役級の活躍をしています。
ところで、一般的な自家用車の寿命を世界基準で考えると、走行距離が20万キロ前後(もちろん、メンテナンスをしっかりして大切に乗った上で、
それなりの整備費もかかるという前提)だそうですが、バスの可能走行距離ってどれくらいなのでしょうか。
気になったので調べて行くうちに、なんと、海外で走行距離が180万キロを超えるバスが乗客を乗せて稼働していたのが発見され、
ドイツのベルリン市警察に押収されたという事例を見つけました。
そのバスはラトビアの2階建てバスで、タイヤがかなり磨り減った状態で、ブレーキにも不具合が見つかり、さらには車体の老朽化が激しくあちこち錆びついており、
極めつけにはフロントガラスに大きなヒビが入ったままだったそうです。車検制度のしっかりしている日本では考えられないことですね。
しかし、実は日本の高速バスなどを見てみると、走行距離が100万キロを超えるものも珍しくなく、
走行距離だけをみれば、180万キロ走るバスがあっても特別驚くことはないのです。
もちろん、この事例については、しっかりと整備しないままお客さんを乗せて走っていたことが大問題であったわけですが、反対に、安全性を無視して、
走行機能のことだけを考えれば、それだけずさんなメンテナンスだったにもかかわらず、こんなに長い距離を走ることができるということが証明されたとも置き換えて考えられなくもありません。
現に、日本で廃車になったバスも車検制度のあまり厳しくない海外などに輸出され、再び元気に走っているたくさんの日本製のバスの姿を見ることができます。
さて、そんな頼もしいバスですが、残念ながらいつかは寿命がやってきます。
小さい頃から長年お世話になったバスが廃車になって、もう日本で見られなくなると思うと、なんだか感傷に浸ってしまいますね。
それがバス好きの方にとってはなおさらのことでしょう。
そこで、御役目を終えた市営バスに最後のお別れをしようと、対象のバスの廃車に立ち会えるという粋なツアーが2、3年前から横浜の交通局協力会旅行センターの主催で行われており、
2013年の10月にはすでに10回目の開催が予定され、今では市営バスマニアの間ですっかりおなじみの人気イベントとなっているのです。
このイベントは、市営バスの廃車とはいっても、実際にバスをスクラップにする解体や部品採取といった現場が見られるわけではありません。
抹消登録に必要な作業を見学したり実際に体験したりするもので、ナンバープレートや方向幕(バスの正面上部についている行き先を表す表示器)、
それから車内の備品(釣銭機やアナウンス装置など)を取り外したり、バスの車体に入っている整理番号を塗りつぶしたりという工程に立ち会えるというものです。
そして、取り外された様々な備品はその場で参加者たちの中から抽選で販売され、それ目当てにイベントに参加される方もたくさんいるそうです。
その中には100円くらいのアイテムから、高額のものは、レアな行き先の方向幕などで1万円以上の値段がつくこともあるそうですが、皆競って購入していくそうです。
ご自分のクルマを廃車にするということは、思い出の詰まった愛車との別れを意味します。
だからこそ、ご自分の納得する形でお世話になった自動車を送り出してあげるのが、ドライバーである私達ができる最後の奉公といえるのではないでしょうか。
ミスター廃車マンはこれからも、あなたの大切な愛車への思いを大切に、満足の行く廃車のカタチをご提供いたします。