「日本製」という言葉を聞いて皆さんはどのような印象を持つでしょうか。
テレビや冷蔵庫などの電化製品はもちろん、日用品や衣類に至るまで、無条件で“品質が高い”という認識があるのではないでしょうか。
それは決して、私達が日本人だからといって贔屓目を使っているというわけではなく、
実際に日本の製品は世界の様々なそれらと比べてトップレベルの品質を誇っており、海外からの評価も同じ、またはそれ以上なのです。
もちろん自動車についても、日本のメーカーの車は非常に高い評価を受けており、
「日本製」=安心の品質というイメージは世界各国の共通認識と言えるでしょう。
その品質の高さを物語るように、日本国内では一度役目を終えたとみなされた自動車でさえ、
海外から見ればまだまだ十分に利用できると判断され、実際にそういった自動車が現役でバリバリ走っている国がたくさんあります。
それだけに海外からの中古車や解体車から取外される中古パーツに対する人気や注目度は高く、
世界中から日本の中古車中古パーツを求めて海外から買い付けにやって来る外国人バイヤーが増えてきている状況です。
そういった意味からも、廃車などの解体車から選別された中古パーツや中古車の海外輸出は、
今後の自動車リサイクル業界における「肝」となることは間違いないでしょう。しかし、そうなると当然、
日本のリサイクル業者はすでに皆、積極的にそのような海外取引を行っているかと思いきや、実際はまだまだ消極的なところも多く見受けられます。
それについては様々な理由が考えられますが、1つは日本人のコミュニケーション能力の低さに問題があるという考え方があります。
日本の中古車や中古パーツを求めて日本にやってくる外国人バイヤーは、
極東のロシアや東南アジアのミャンマー、タイ、マレーシア、中東はドバイ、シャルジャー、シリア、アフリカのエジプト、ケニア、ナイジェリア、南米はチリ、ペルー、カリブ諸島の島で
トリニダード&トバコ、ドミニカ、オセアニアはサモア、ニュージランド、欧州に北米等々まで、本当に様々な国の人間で、自国に日本車や、
日本車の中古パーツを安価で持って帰りたいと積極的に交渉してきますが、中にはほとんど日本語を喋れずに、身ぶり手ぶりで商談してくるバイヤーもいます。
さらに、一般的な日本のビジネス形式を考えてしまえば、身分もよくわからない相手との交渉というものはどうしても不安が大きく、
構えてしまうという気持ちもわかります。
私たちも、道端で急に外国人に自分の知らない言葉で話しかけられたら、どうしていいのかわかりませんし、
単純に「外国人に話しかけられた」というだけで、漠然とした得体のしれない不安を感じてしまいますよね。
そして残念なことに、その固定概念に拍車を掛けるかのごとく、実際に悪意を持った外国人バイヤーから盗難にあったり、 契約をすっぽかされたり支払い条件での折り合いがつかずに商品代金が受取れないといった被害を受けてしまったという業者もいるため、 リスクヘッジのために海外輸出に踏み込めないという企業も多いのです。ですが、 そもそも言葉も知らない国にビジネスチャンスを求めて海を渡るということはなかなか普通の日本人の感覚にはあまり見られませんね。 それは、それだけ彼らがビジネスに貪欲で商売熱心だということが伺えますし、実際に交渉態度も良く、勉強熱心なバイヤーも数多くいるのです。 ただ、熱意だけではビジネスは成り立ちませんし、盗難は盗難で犯罪ですから、そのような人間を受け入れるべきではありません。 しかし反対に、熱意と誠意と販売ルートを持った外国人バイヤーのなかで、「どうやって交渉したらいいのか」ということがよく解っていないケースを、 入り口でシャットアウトすることは、せっかくのビジネスチャンスを潰してしまう可能性があるのではないでしょうか。 つまり、今後の自動車リサイクルにおける中古車の輸出のさらなる発展のために必要な新たな課題は、各リサイクル業者が円滑に、 そして安心して外国人バイヤーたちとのビジネスを含めた交友関係を築けるような環境を構築していくことなのではないかと考えます。 もちろん、そのためには各リサイクル業者の外国人とのコミュニケーションを含めた交渉能力、そして各バイヤーの善悪を見極める力の底上げも必須でしょう。 国が違えば文化も違います。それだけにビジネスに対する考え方も、日本人とは異なる部分も多々あって当然ですし、それによってこれからも様々な問題が出てくるでしょう。 しかしそれらを乗り越えた時に、自動車リサイクル業界の明るい未来が待っていると信じています。
来日した海外バイヤーを自宅に招いて。
文化や宗教が違う国のお客様。