突然ですが、1台の自動車はどれくらいの数の部品でできているかご存知ですか?実は細かい部品まで入れると2万~3万個の部品が使われているんです。 その1つひとつが重要な役割を担っていて、廃車の際には多くの部品がリサイクル品として再利用されています。 今回はその中でも「タイヤ」のリサイクルのお話をしたいと思います。近年、自動車は一家に一台を上回るペースで普及しており、まさに「自動車社会」といえます。 日本の自動車普及率は人口1,000人あたり約600台、つまり10人中6人は車を持っている計算になります。 もちろん、中には1人で2台も3台も持っているお金持ちの人もいるでしょうけれど、単純計算で5人家族に3台ということになります。 ということは、自動車1台につき4本(一般的な自家用車)あるタイヤの数を考えると、すごい消費量ですよね。 そしてこのタイヤ、一度使い終わっても90%以上がリサイクルされているんです。 こうやってみると「ほとんどリサイクルしててスゴイじゃん!」と思えますが、実は本来ならばタイヤは100%リサイクルされなければならないもので、廃タイヤが約10%でも何らかの形で残っている方が問題なんですね。 なぜならタイヤは大きくて腐敗もしにくいため、廃棄しても長い間原形を留めてしまうので、環境に悪いと考えられているからなんです。
さて、そんな廃タイヤのリサイクルですが、その方法は大きく分けて3つあります。
それは「リユース・リサイクル」、「サーマル・リサイクル」、「マテリアル・リサイクル」と呼ばれていますが、それぞれどのような方法なのか1つずつ説明していきましょう。
リユースリサイクルとは、文字通り、一度自動車の部品としての役目を終えたタイヤを再生タイヤとして蘇らせることによって再び利用(リユース)するというリサイクル方法です。廃棄されたタイヤの中でも、程度の良い物などは国内や海外でそのまま使われることもありますし、バスやトラックに使われている大型のタイヤなどは再生タイヤーとして、タイヤーの表面を張り替えるなどの再加工することで新品と同じ扱いで使用されているんです。また、自動車のタイヤ以外にも、公園や学校の遊具や港の防舷材としての用途もあり、みなさんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
サーマルリサイクルとは廃棄物、つまりこの場合はタイヤを指しますが、タイヤ自体を再利用するのではなく、それを熱エネルギーとして回収・利用するリサイクル方法です。タイヤを形成している主原料は石油で作られた合成ゴムです。これは燃料として使用した際に安定して高い温度を保つことができるため、使用済みになったタイヤを切断加工することで、石炭などの代替燃料としてセメント工場や製紙工場などの様々な工場で再利用されているのです。
マテリアル・リサイクルとは廃タイヤをタイヤとして使うのではなく、加工して別の製品に生まれ変わらせる方法です。古くなったタイヤから、スチールコードや強化繊維を取り除いて、残った合成ゴムを細かく裁断して粉末状にしたものを原料にして、様々な製品が作られています。例えば、道路で見かける歩道舗装材やスポーツ施設にあるすべり止めマット、それから実は、新幹線のレールに敷いてある路床材なんかにも使われているんです。
私達が走り方にもよりますが、新品を3年で履き替える自動車のタイヤ。たくさんの自動車の部品の中でも特に消費の激しい消耗品だからこそ、しっかりとした再利用の仕組みをつくり上げることで、環境への負担を軽くする必要があるんですね。でも、だからといって磨り減って溝の無くなったタイヤをいつまでも履いているのは危険ですので、交換の時期が来たら替えましょう。