こんにちは、岐阜大学自動車部です。
今回は自分でできる車の簡単な点検や、整備方法について紹介させていただきます。
車の点検整備といえば、皆さんは何を思い浮かべますか?
タイヤの空気圧点検、オイル交換、タイヤ交換など簡単にできるものから、板金塗装、エンジンの脱着など専門的な知識や整備設備が必要とされるものまで、さまざまな点検整備
があります。
このコラムでは、初心者の方でも簡単に出来て、道具や設備を必要としない点検整備を紹介します。
「点検」と「整備」の違いについて、少し整理しておきましょう。はじめに「点検」とは、装置が正常に機能するかを確認することです。
つぎに「整備」とは、装置が正常に機能するように部品を交換、または修理することです。車の点検整備を怠ると、車が壊れてしまうだけではなく、重大な事故を引き起こす可能性があります。このことから国土交通省は、自動車の点検整備を車の使用者に義務づけています。一般乗用車の点検整備には、大きく分けて2つの種類があります。
1つ目は日常点検整備です。
日常点検整備とは、車の使用者が自分で行うことができる点検です。この点検は、車の使用者が運転席に座ったり、エンジンルームをのぞいたり、自動車の周りを回りながら、自動車の状態を見ることによって簡単に実施できるものです。
2つ目は定期点検整備です。
定期点検整備とは、自動車の装置や部品に対して定期的に行う必要のある点検です。日常点検整備は、日頃から行う簡単な点検であるのに対し、定期点検整備は一定間隔ごとに行う、少し大がかりな点検整備です。
車の使用者自身で、実施しても問題ありませんが、専門的な知識・技術も必要なので、整備工場に持ち込んで実施することが一般的です。
日常点検整備は、車に乗る本人が日頃から自分でおこない、定期点検整備は自分でできる点検項目のみ自分でおこない、自分でできない点検項目は整備工場にお願いすることが必要です。
さらに車を安全に安く維持するには、日常点検整備は確実に実施できるようにすることと、定期点検整備の項目を出来るだけ自分で実施することが必要です。
初めに専門的な知識、技術、設備がない初心者の方でも、ご自宅で簡単に実施できる日常点検整備の項目を中心に解説していきます。
日常点検整備は15項目で構成されています。日常点検15項目チェックシートが、国土交通省の公式ホームページでダウンロードすることができるので活用してみてください。
実施時期については国土交通省の定めによると、「日頃、自動車を使用している中で走行距離や運行状況などから判断し、適切な時期に点検を行うこと」としています。少しあいまいな表記ですが、分かりやすく言うと、半年に1回などと、点検時期を厳密に定めるのではなく、少しでも車の状態について気になることがあった場合、点検を実施しなさいという事です。
具体的には、レジャーや旅行で長距離を走行する前や、その後などが挙げられます。また日常点検整備の実施によって、自動車の安全性が保障されるわけではありませんので、車の状態や使用状況に応じて、適切な保守管理を行う必要があります。それでは日常点検15項目について一つずつ確認していきましょう。
①エンジンのかかり具合・異音。
②ウインド・ウォッシャー液の噴射状態。
③ワイパーのふき取り能力。
④ブレーキの踏み残りしろと効き具合。
⑤駐車ブレーキの引きしろ。
⑥エンジンの低速・加速状態。
以上の6項目です。
どれも簡単に点検できるものばかりですね。
部分的に補足説明をします。
雨の日にワイパーが動くとビビリ音がする。
ワイパーを動かしても、水滴がフロントガラスに残ってしまう。
このような症状が出ている場合、ワイパーゴムの劣化が原因である可能性が高いです。
ワイパーゴムは、カー用品店などで購入できます。
交換は簡単ですので自分でチャレンジしてみるのもよいでしょう。
駐車ブレーキは、パーキングブレーキとも呼ばれます。
これは基本的に金属製のワイヤーによって作動しています。
使用回数に伴ってワイヤーが伸びてくると、駐車ブレーキのレバーの引きしろ(足踏みペダル式の場合は踏みしろ)が長くなってしまいます。
こうなると、適切に駐車ブレーキが作動しませんので、ワイヤーの調整が必要です。
調整方法は車によって異なり、複雑ですのでわからない場合は、整備工場に依頼するのが良いでしょう。
⑦ランプ類の点灯・点滅。
⑧タイヤの亀裂・損傷の有無。
⑨タイヤの空気圧。
⑩タイヤの溝の深さ。
以上の4項目です。
ヘッドライトの点灯不良は、運転中に気が付きやすいですが、テールランプやウインカーは、車外から点検しないとなかなか気が付くことができませんよね。2人で行う事をお勧めします。点灯不良の原因の多くは、電球の玉切れです。
タイヤの状態のチェックはとても重要な点検項目です。タイヤに亀裂や損傷があるまま走行すると、タイヤが突然バースト(破裂)する危険性があります。特に高速道路を頻繁に利用する場合は、危険性が高まりますので、こまめに点検されることをお勧めします。
タイヤの適正空気圧は、運転席のドア開口部付近に貼付されているラベルで調べることができます。
ただしインチアップなどによって、社外のホイールを装着している車は、適正空気圧の値が大きく異なるので注意してください。空気圧調整は、家庭にある一般的な自転車用空気入れでは行えません。
ガソリンスタンドに設置されているエアタンク型空気入れを使えば、誰でも簡単に空気圧の確認と調整ができるので、活用するとよいでしょう。
タイヤの残り溝の確認にはスリップサインを使います。スリップサインの場所は、タイヤ側面にある、小さな三角形の延長線上にあります。タイヤの溝の中にあるスリップサインが、溝の外のゴム部分と平らになると、タイヤの交換時期です。
ただし、⑧で述べたようにタイヤの交換時期は溝の深さだけではなく、タイヤの状態や使用年数によっても交換しないと危険ですので注意してください。
エンジンルーム内部の点検となると、ハードルが高いように思えるかもしれませんが、部品を取り外すなどするわけではなく、オイルやフルードの量を確認するだけなので、簡単です。
オイルやフルードは、適正な量が入っていないと車の故障に直結してしまうため、誰でも簡単に確認できる仕組みになっているのです。
ここで、エンジンルーム点検の基本であるボンネットの開け方について確認しておきましょう。ボンネットのロック機構は、二段階の構造になっていることがほとんどです。
はじめに、車内にあるボンネットのロック解除レバーを引きます。レバーを引くとボンネットが少し浮き上がるはずです。これは運転席側の足元にある場合がほとんどですが、例外となる車種もありますので詳しくは車の取扱説明書を参照してください。
つぎに車外から、浮き上がったボンネット前方の隙間から、レバーを操作しながらボンネットを上方に持ち上げると、ボンネットを開けることができます。このようにボンネットのロック機構は少し複雑な仕組みになっていますが、2つのレバーは必ず存在するはずですので落ち着いて探してみてください。
それでは点検項目の確認に移りましょう。
⑪ブレーキ液の量。
⑫冷却水の量。
⑬エンジンオイルの量。
⑭バッテリー液の量。
⑮ウインドウウォッシャー液の量。
以上の5項目です。
これらは主に、専用のタンクやエンジン内部に蓄えられています。間違った場所に、間違ったオイルやフルードを入れてしまうと、故障の原因になりますので、継ぎ足しや抜き取りを行う場合に詳しいことが分からなければプロの方にお願いすることをお勧めします。各項目について補足説明をします。
ブレーキフルード(ブレーキ液)のタンクの位置を確認しましょう。タンクはエンジンルーム内の運転席側にあり、車内から見るとブレーキペダルの上部に位置します。タンクの蓋には使用するブレーキフルードの情報が表記されています。
タンクにはゲージが記されているので、フルードがMINとMAXの間にあることを確認しましょう。一般的には、MINとMAXの中間よりも少し上にあるのが良いとされています。
また、この時フルードの色もチェックしておきましょう。あまりにも黒ずんでいるようでしたら、交換時期かもしれません。
冷却水は通常、リザーバータンクという半透明の容器に蓄えられています。リザーバータンクの場所は車種により様々ですが、ラジエーターとゴムホースでつながっていることや、緑色や赤色のカラフルな液体が入っているのが特徴です。
このタンクにも他と同様に、ゲージが付いていますので、MINとMAXの間に冷却水があることを確認してください。
エンジンオイルは、エンジン本体の下部に蓄えられているので、オイルの量を目視で確認することができません。そのため、レベルゲージと呼ばれる棒状のものを、エンジン下部に差し込んで、レベルゲージに付着したオイルの長さを、見ることによってオイルの量を確認します。
レベルゲージは、エンジン本体に差し込まれていて、一般的には黄色の円形の持ち手がついています。それをエンジンから引き抜き、付着しているオイルをふき取り、もう一度差し込んで引き抜けば、エンジンオイルの量を測ることができます。
ゲージには、HとLの表記がありますので、オイルがその間にあることを確認してください。
ウインドウウォッシャーは、エンジンとは関係のない装置ですので、タンクはエンジンルームの端にあることが多いです。タンクの蓋には、イラストが描かれていますので、分かりやすいかと思います。これも他と同様、タンクにあるゲージのMINとMAXの間にウオッシャー液があることを確認してください。
以上が、日常点検整備の15項目です。
車を点検整備するうえで、基本的な内容ですが、安全に車を動かすためには重要なものばかりです。点検だけならお金をかけずに、短時間で簡単に行うことができますので、是非やってみてはいかがでしょうか。くれぐれもケガをしないように、手袋などを着用し、点検整備は自己責任でお願いします。
コラムは以上です。
最後まで閲覧いただき、ありがとうございました。