こんにちは、静岡大学自動車部です。
我々自動車部は、普段ジムカーナと呼ばれる競技を行っています。 しかし、このジムカーナは一般の方々が簡単に始められるものではないと思います。
なので今回は、スポーツ走行の中で一番手軽に始められるサーキット走行についてお話します。
<目次> ◇ スポーツ走行って何? ◇ サーキットを走るのに準備するもの ◇ サーキットの走り方 ◇ 実際にサーキットを走ろう
スポーツ走行。
車に興味のない方にとって、この言葉はなじみのあるものではないのでしょうか。 これは普段町中を運転するときとは違い、車の性能を限界まで引き出してタイヤを減らし、エンジンをうならせながら走るものです。
みなさんは、マリオカートやグランツーリスモなどレースゲームをしたことがあるでしょうか? マリオカートはちょっと違う気もしますが、簡単に言ってしまえばスポーツ走行とはああいったものです。
ゲームの中ではなく、自分の車の限界を知りたいと思ったことはありませんか? この車はどれくらいのスピードで走れるのだろうか、自分の運転技術はどれほどなものなのか。
それを確かめるためにみんなスポーツ走行をしています。 そんなスポーツ走行ですが、当然公道でやることは危険すぎるので絶対にやってはなりません。
ではどこでするのか、その場所がサーキットやジムカーナ会場なのです。
サーキットは、手ぶらで行って走れるものではありません。
自分や周りで走っている人の安全のためにも、準備をすることがあります。 ここでは、初めての人がサーキットを走るために最低限用意しなければならないものを紹介します。
◆服装 まずは自分の服装について。
サーキットを走るためには、ヘルメット、グローブ、靴、長そで長ズボンが必須となります。ヘルメットにはSG規格、JIS規格、などいろいろな安全規格があります。
小さなサーキットを走るだけなら、ホームセンターで売っているようなSG規格というものだけ通っているものを買えば5,000円もしないで買うことができます。 ただ、もし何かあった時のことを考えると少しいいモノを買ったほうがいいのかもしれません。そこはお財布と相談です。
自分は最初、4,000円の安いヘルメットを使っていましたが、今は3万程度のヘルメットを使用しています。 当然ですがそちらは、作りがしっかりしており安心感が違います。
つぎに、グローブです。
運転するのに何で、グローブなんてしないといけないのだろう?と、思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ここに一番お金をかけてもいいのです。
それぐらい、スポーツ走行をする上では重要になってきます。なぜならスポーツ走行とは、その名の通りスポーツであります。
したがって、サッカーやバスケットボールなどのスポーツと同じように汗をかきます。 限界で走行しているときにもし手汗によって手が滑ってしまいハンドル操作を誤ったら、どうなるか、わかりますよね?考えただけでも恐ろしい事態になってしまいます。ですので、グローブはとても大事なものなのです。
こちらも、小さなサーキットを走るのであれば、いぼ付きの軍手でも構いません。 しかしこちらも5,000円程度で運転するために設計されたグローブを買うことができます。運転のしやすさは段違いですので、お金に余裕があれば購入したほうが良いです。
靴、長そで長ズボンについては、運転に支障がなさそうであればどのようなものでも構いません。
これらの、装備には当然、専用品というものが存在し、レースなど競技に出るためにはレーシングスーツ、レーシングシューズ、レーシンググローブを着用しなければなりません。
これらは運転するのに特化しているだけでなく、乗員の保護を最優先に考えており、もし事故を起こして車が炎上しても無事に脱出できるように防炎性の素材で作られています。
◆工具 次に、最低限必要である工具について説明します。 それはレンチ、エアゲージ、そしてテープです。
レンチはホイールのナットを締めるために用います。スポーツ走行をしている車のタイヤには、行動を普通に走っているときとは、比べ物にならないくらいの負担がかかります。
そのため、タイヤやホイールに異常がなくともナットが緩んでしまう可能性があります。 その状態でスポーツ走行を続けてしまうと、ナットが取れてしまいます。 最悪の場合は、ホイールが外れてしまう可能性があります。
したがって、走る前、走った後にはホイールナットが緩んでないかを、チェックする必要があります。 そのためにレンチを使うのですが、そのレンチは車載工具のものでもよいです。 しかしそれよりも、クロスレンチを使用することをお勧めします。
なぜなら、これは両手でしっかり力をかけられるため、力の弱い方でも確実にナットを締め付けることができます。
ただ、このホイールナット、緩んでいる状態はもちろんダメなのですが、締めすぎている状態も危ないのです。 ボルトに過度な負担がかかってしまい、最悪の場合ボルトが折れてしまいます。 ナットの締め付けには指定トルクがあり、本来はその力で締めなければなりません。そのための工具として、トルクレンチというものがあります。 これを使うと規定トルクで締め付けることができるので安心してスポーツ走行を楽しめます。
次にエアゲージです。
こちらはタイヤの空気圧を計測するために用いるものです。 スポーツ走行をすると路面とタイヤの摩擦が大きくなり、その摩擦熱でタイヤの中の空気が膨張し空気圧が上がってしまいます。
タイヤのなかの空気圧が上がってしまうとタイヤが膨らんでしまいます。 膨らむと、タイヤの真ん中だけが接地しているような状況になってしまい、タイヤの性能を最大限に引き出すことができません。
したがってサーキットを走るときは、こまめに空気圧を確認することが大切なのです。 また、普段から空気圧を確認することを習慣にしていれば、空気圧が低くなって転がり抵抗が大きくなったまま走ることがなくなるので燃費の向上にもつながります。
最後にテープです。
養生テープが望ましいですが、ガムテープでもマスキングテープでもなんでも大丈夫です。 これは何に使うかというと、ガラスでできた灯火類を保護するために使います。 サーキットを走行している際に、もしクラッシュをしてしまったら車の破片が飛び散ってしまいます。その時、ライトのガラスが飛びちることを防ぐために、ガラス面に一面にはるかバツ印ではったりします。
いざ、準備するものが整ったらサーキットを走ってみましょう。 ただ、サーキットは何台もの車が同時にかなりのスピードを出して走っているところです。 したがって、最低限のルールとマナーがあります。
まずは、フラッグについてです。 サーキットではコース先の自分が見えない位置で何かが起こった時に、それを知らせてくれるポストというところがあります。 そこには人が立っていたり、ランプがついていたりします。 そのポストから、フラッグまたは同色のランプが出されるのです。 そのフラッグには三種類、イエローフラッグ、レッドフラッグ、チェッカーフラッグというものがあります。
・イエローフラッグ これは注意合図になります。 前方でスピンした車がいるなどの、危険があることを知らせてくれます。 これが出たらスピードダウン、また追い越しも禁止です。
・レッドフラッグ これは走行中止の合図です。 コース上でクラッシュなどの場合、その車両を退避させるまでは安全に走行できないときに出されます。 これが出されたら徐行運転をし、その周でピットに戻らなければなりません。
・チェッカーフラッグ これは走行終了の合図です。 これが振られたらコントロールラインを通過後、その周にピットに戻ってこなくてはなりません。 また、ポストの人に、チェッカーフラッグが見えたことを知らせるために、ハザードを点灯するなどの合図をしてください。 サーキットでは何があろうと、このフラッグの指示に従わなければなりません。 従わない場合は、その後の走行をさせてもらえなくなる可能性があります。
次に、サーキット走行をしていると、後ろから速い車が来ることが多くあります。 ここで勝負を挑もうなど考えてしまうと、無理してコースアウトやスピンをしてしまう可能性があり、とても危険です。
サーキットには、レコードラインといって一番タイムが出せる理想ラインがあります。 速い車はそのラインに乗って走行しています。 ですので、抜かれるときはそのラインをふさがないようによけて、速い車に先に行ってもらうことが重要です。
このほかにもサーキットを走るに当たって、気を付ける点はたくさんありますが、自分が走りたいと思ったサーキットのHPを確認してみましょう。
そのサーキットで走る際のマナーが、事細かく書いてあります。 必ずサーキット走る前に、チェックしてみてください。
準備ができたら、実際にサーキットを走ってみよう!!
ということで、私がサーキットを走った時のことお話ししましょう。
走ったサーキットは、大分県にあります「一本クヌギ・スピードウェイ」というコースです。 このサーキットは車、カート、バイクなどなんでも走ることができるサーキットとなっています。 貸切りなどになっていなければ、午前中は車、午後はバイク、カートが走れるようになっています。 また料金は、朝8時から12時まで走って3,000円と、とてもリーズナブルなサーキットとなっております。
当日は朝早く起きて、準備をし、サーキットには8時半ごろに到着しました。 するとNAロードスターが一台元気に走っていました。 自分が準備をしているとぞろぞろと車が集まり、結局その日は6台で走ることになりました。
走る前の準備なのですが、まず車に乗っているものを全部下ろします。 何かのはずみでブレーキペダルの下に物が入ったりしては大変危険です。 また、運転席側のフロアマットも、上記の理由で外しておいたほうがいいでしょう。 そのあとは、ホイールナットが緩んでいないか、空気圧は適正かをちゃんと検査して準備完了です。
さぁ、走り出してみましょう。
最初はあまりスピードを出さず、慣れてきたら徐々にスピードを上げていきましょう。 走っているうちに「こうすれば速く走れるんだな、次はこうしてみよう」など考えるのがとても楽しく、思い通りに走れた時はものすごい快感です。
しかし、サーキットを走るととても疲れます。 その時は、無理せずピットに戻って休憩をしましょう。
また、このとき、ほかの人たちと談笑するのも楽しいです。 自分の車のこと、相手の車のこと、そんなことから話は盛り上がっていきます。 今回私と一緒に走った方々とも、仲良くなり、自分と横に乗せて走ったり、相手の車の横に乗せてもらったり、最後にはみんなで記念写真を撮りました。
サーキットに行くことによって新たな仲間を作ることができます。 そこで仲良くなった人たちと今度はサーキットではなく、ツーリングなどに行っても楽しいかもしれませんね。 今回、知り合ったみんなでコースに出て写真撮影。 こんなことができるのは、このサーキットならではですね!
サーキット走行は思ったほどハードルが高くなく、一度走ると病みつきになってしまいます。
皆さんも一度走ってみてはいかがでしょうか
(執筆:静岡大学自動車部)