私達の身の回りの便利な製品には様々なたくさんの金属が使われていますね。
テレビやパソコン、携帯電話、そしてもちろん自動車にも。
その中には鉄やアルミ・銅の鉄や非鉄、金・銀・プラチナなどの貴金属のレアメタルや、
ネオジム・ジスプロシウム・サマリウム・プラセオジムなどのレアアースといった貴重な再利用資源が含まれていて、
現在は最先端の技術を駆使してあの手この手でリサイクルされています。
なぜなら、世界の人口は年々増え続けている中で、その人々が暮らすために必要な資源には必ず限りがあるわけですから、
いかにして有限な資源を活用するかという問題は、
もはやこれからずっと私達に付きまとう問題だと言えるからです。
そしてこれらの金属は「都市鉱山」と呼ばれる存在となり、近年注目を集めています。
都市鉱山という言葉を初めて聞いたという方は、鉱山と聞くとどうしても大きな山を想像してしまいますが、
この都市鉱山は大都市にある鉱山そのものを指しているわけではありません。
大体、大都市に鉱山なんて見かけたことはありませんね。
都市鉱山は、私達が粗大ごみとして廃棄した使用済みの電化製品の中に含まれているまだ使われていない
再利用可能な金属のことを総じてそう呼んでいるのです。
つまりは使用済み自動車も「都市鉱山」と呼ぶことができるのです。
この都市鉱山には良いところがたくさんあります。
まず、普通の鉱山であれば、たとえば、ある山から「金属が取れる」ということを発見しても、
一体どれだけの資源が眠っているかということは、
おおよその予測はできても実際に掘り尽くしてみなければわかりません。
対して都市鉱山に埋もれている金属資源は、もともとある天然資源を加工して使用されたものですので、
どんな金属がどれだけ含まれているかということがハッキリしているのです。
また、その金属資源の品質についても「一度加工して使用されていた」ということが、
天然の鉱石から金属を取り出すよりも高い品質の状態で採取することができると考えられていますし、
実際の採鉱(鉱石を採取する作業)や精錬(採取した鉱石から不純物を取り除
く作業)にかけるエネルギーも節約できるというわけです。
現在、日本にはどれだけの都市鉱山が存在するかというと、わかりやすく馴染みのある貴金属、
「金」に関して調べてみると、なんと約6,800トンもあるそうです。
6,800トンの金といってもあまりピンとこないかもしれませんが、
オリンピックの金メダル1個に使われる金の量がおよそ6gですから、
金メダル11億3千万個分という計算になります。
さらに世界中の全ての金をかき集めた総量が、およそ42,000トンしかないと言われていますので、
その約1/6が日本の、しかも使い終わった粗大ごみの中に含まれているというから驚きです。
また、この金の含有量の割合がまたすごいのです。
比較の対象として、現在、世界で最も金がとれるといわれている南アフリカ共和国の金鉱山を見てみると、
1トンの鉱石からとれる金の量はどんなに優良な鉱山でもおよそ5gだそうです。
それに対して、日本の都市鉱山である使用済みの携帯電話から取れる金の量は1トン(約1万台)から
約400gもの金がとれると言われています。さらに、その他にも銀や銅といった貴金属も同時に採取できます。
また1台の廃車から取外される自動車のエンジンコンピューターやSRSエアバック類
コンピューターから取れる金は約32.2mg、1トン(3200台)から約96gもの金が取れるのです。
ミスター廃車マンの買い取りでも、毎月相当な量の金属部品が取れることになります。
さらに今後は自動車業界にとってもこの都市鉱山は非常に重要な役割を担ってゆくと考えられています。
なぜなら、省エネ効果で人気の高いハイブリッド車や電気自動車などの次世代自動車の普及の拡大によって、
今後の自動車におけるレアメタルの需要は増える一方だからです。
都市鉱山から採取できるレアメタルやレアアースは、自動車産業に欠かせない存在になるでしょう。
このように我が国の都市鉱山はまさしく「宝の山」と呼ぶにふさわしい存在なのです。
どんなに優れた商品を開発しても、必ず終わりはやってきます。
そして、それらの製品は利便性を追求してどんどん進化を続けていますし、
私達の生活をより豊かにするためにはそうあるべきでしょう。
しかし、それにともなってリサイクルを含めた資源の活用方法も多角的に変化し、
さらに複雑化していくことは明確であり、随時それに合わせたしかるべき対処法を考えなければならず、
どちらか一方でも停まるわけにはいきません。
そういった意味からも化学の進歩とリサイクル技術の発展は一心同体であるべきだとあらためて考えさせられる次第です。