学生でも車を所有したいという方は多いのではないでしょうか?免許は持っていても車を所有していない、あるいは金銭的に所有できない人がほとんどですよね。
東京の学生さんは、公共交通機関が充実しているため必要には感じないかもしれませんが、地方の大学は東京ほど交通設備が充実していないので、移動は徒歩や自転車、あるいは原付などが一般的です。
しかし、雨や雪の日はこれらの移動手段では自動車に比べ危険を伴い事故にあった場合大怪我や最悪死亡してしまう可能性があります。
そこで、なるべくお金をかけずに車を所有できる方法を説明します。多くの方は、車とはディーラーなどの正規販売店で購入するものだと思っていませんか?実は、個人から購入することもできます。購入すると言いましたが、親戚や廃車にする予定の人からタダでもらうこともできます。
しかし、ここで注意してほしいことがあります‼個人売買の場合、お金を払ったからといってすぐに自分の車になるというわけではありません。
自動車には、名義があり車検証にその車が誰のものであるかが書かれています。もし名義が前の所有者のまま運転して事故などにあった場合、前の所有者にも責任が問われる可能性があります。そうなった場合前の所有者に迷惑をかけてしまいます。
個人売買の場合、車を前の所有者から自分の車にするための手続きをしなければいけません。実は正規販売店では、“お金を払って”この手続きをやってもらっているので手数料分(+点検、保証)だけ購入費が高くなります。とは言っても、正直この手数料は取りすぎな金額が請求されています。それくらい簡単な手続きです。
以下に、もらった車に必要な手続きをまとめていきます。
もらった車の、ルームミラーの付け根の方にこんなシールが貼られていると思います。
このシールに書かれている日付を過ぎていない場合、名義変更という手続きをすませると自分の車になります。このシールが貼ってない場合や、正確な日付を確認したい場合は、車検証の“有効期間の満了する日”欄の日付を確認しましょう。
<車を受け取る人が必要な書類>
印鑑証明書(発行後三ヶ月以内)、実印(*)、委任状(*)、車庫証明書
<車を譲る人が必要な書類>
印鑑証明書(発行後三ヶ月以内)、実印(*)、委任状(*)、譲渡証明書、車検証
(*)…陸運局に2人で来るときには2人の実印を用意してください。その際、委任状は必要ありません。どちらか1人で来るときには来る方の実印と来ない方の委任状(実印を押した)を用意してください。
以上のものを用意して、陸運局に手続きをしに行きます。
ここで注意してほしいのは前の所有者と自分の運輸支局の管轄が違う場合、ナンバープレートの変更が必要になるので名義変更する車で陸運局まで行かなければなりません。逆に運輸支局の管轄が同じであれば、その車で行かなくても書類だけ持っていけば手続きできます。
陸運局でさらに申請書、手数料納付書を作成して持って来た書類と合わせて提出すると手続き完了です。
車検が切れたまま名義変更はできないのでまず車検を通さなければいけません。しかし、車検満了日が過ぎている車で公道を走ることは出来ません。
そこで仮ナンバーを取得します。これは、市役所で簡単な申請で借りることができます。“自動車臨時運行許可申請”で調べてみてください。
そして、車検を受けるためにインターネットで予約を取る必要があります。地方によって異なる点があるので、注意してください。
(用意する書類)赤字は陸運局で用意されます
・車検証
・自動車損害賠償責任保険証明書
・自動車税納税証明書
・継続検査申請書
・自動車重量税納付書
・自動車検査票
・点検整備記録簿
車検に合格し、名義変更を行えば手続き完了です。
前の所有者がしばらく乗っていない車だと、自動車税がかからないように一時抹消している場合がほとんどです。一時抹消されている場合には、新規登録といって再び公道を走れるように車検を受ける必要があります。
これは継続車検とほぼ同じ内容なので心配しなくて大丈夫です。これも仮ナンバーを取得して、インターネットで車検の予約を取る必要があります。
(用意する書類) 赤字は陸運局で用意されます
・抹消登録証明書
・自動車損害賠償責任保険証明書
・印鑑証明書
・譲渡証明書
・委任状
・車庫証明書
・新規検査登録申請書
・自動車検査票
・手数料納付書
・自動車重量税納付書
・自動車税申告書
・自動車取得税申告書
・点検整備記録簿
車検に合格すると、ナンバーが交付されます。
僕が実際に体験したのは(3)の、一時抹消された車を再登録するケースでした。具体的に体験したことを説明します。
(ⅰ)車台の、同一性の確認
最初に行われたのは、その車の車検証に書いてある車台番号や原動機の型式が、その車と一致しているか確認されます。僕の車の車台番号はボンネットを開け、フロントガラスの下に見える位置に刻印されていました。
(ⅱ)外廻りの検査
次に、検査されたのは車体の検査です。最初に、灯火類が正常に作動しているかどうかが確認され、同時に足回りの異変がないかハンマーで叩き異音がないか調べられます。
そして、車検証に記載されてある通りの車体であるか?改造されていないか?車内のシートやシートレールが車検対応のものであるか?等々、ぬかりなく調べられます。ここで不合格になる人は少なくありません。
実際にあった例は、前の所有者が自作のシートレールを使用して社外シートを取り付けていたことで不合格になっていました。さらに社外シートも車検非対応なものがほとんどです。(対応しているのはBRIDE、RECAROくらい)
不安な人は、元々その車についていたものを取り付けて車検を受けることをお勧めします。
(ⅲ)サイドスリップ検査
いよいよ、走行に支障がないか検査されます。まず、サイドスリップがないか(タイヤがまっすぐ進むか)検査されます。検査官の誘導に従って、進み横滑り量を測定します。
(ⅳ)ブレーキ検査
次にブレーキ検査をするために、車をテスターにのせます。ギアをニュートラルにしておき、合図の通りにブレーキを踏みます。この時、絶対にハンドルは切らずにまっすぐにしてください。テスターから車が飛び出す恐れがあります。
次に、スピードメーターが正確な速度を示しているかを検査します。徐々にスピードをあげていき、40キロでクラクションかパッシングで合図します。
(ⅴ)ヘッドライト検査
(ⅰ)でも、灯火類の点灯チェックしましたが、ここではヘッドライトの光量や光軸が基準値以内であるか検査されます。
僕はヘッドライトの光量が少しだけ暗かったので、アクセルをふかして光量をあげておくといいとアドバイスをもらいました。
光軸は普段何もしてなくても勝手にずれていきます。これは車検前に調整しておかないとほぼ引っかかります。
(ⅵ)排気ガス検査
マフラーに、検知器を差し込まれて、一酸化炭素(co)及び、炭化水素(hc)濃度を測定されます。排ガス触媒装置を外して、直貫マフラーでは検査不合格になります。
(ⅶ)車台下部検査
最後に、車体の下回りの検査をされます。古い車だとオイル漏れなどで引っかかる場合があります。事前に下回りを綺麗にしておくといいです。
これで全ての検査が終わります。
なお検査で引っかかった場合、再検査を2回まで受けられます。大抵近くに予備検査場があるので、前もって検査して引っかかりそうなところを直しておくとスムーズになります。地元の整備工場でもやってくれます。
車検が初めての方は、最初に検査委員の方に行っておくと丁寧に教えてくれます。検査を合格すると新たな車検証とシールをもらえます。古いシールを剥がして、新しいシールを貼ります。新しいナンバープレートを、取り付け封印をしてもらったら終了です。
車を取得する時に、かかる費用は名義変更のみを行う場合、以下の手続きが必要になります。
・移転登録手数料(500円)
・申請書の用紙代(100円)
・ナンバープレート代(1,400〜1,900円)
・印鑑証明書代(200〜400円)
・自動車取得税(取得した車によって異なる)
・車庫証明書代(約3,000円)
だいたい5,000円で名義変更ができます。しかし、車検が切れている車を取得する場合は上記の他にも必要な手続きが発生します。
<車検が切れている車を受け取る際に追加でかかる費用>
・自賠責保険料(25,000円)
・検査手数料(1,800円)
・自動車重量税(24,600〜73,800円)
・点検整備料(時価)
車検が切れている場合、名義変更のみのケースよりも、かかる費用が大変多くなってしまいます。
これでも、ディーラーにやってもらうよりか自分でやったほうが安く抑えられます。それでも、学生が払うにはかなり負担の大きい額ですよね。
しかし、車検が切れている車は、ほとんどの場合以上のような理由からその所有者は車をタダかそれに近い価格で売ってくれるケースが多いです。したがって、トータル出費はディーラーで買うより、はるかに安くなるのが一般的です。
逆に車検が切れていて、いくらか整備不良が見受けられる車なのに、高額で売りつけてくる人も少なからずいるので注意してください。そんな車をかってしまうと、大抵車検の時に自分で治せないような大掛かりな修理を必要とするのでその修理費に何十万も必要とし、普通の中古屋で購入した方が安い場合がほとんどです。
よくSNSなどで車を売ろうとしている人がいますが、面識がない人同士で車を受け渡しするとそう言ったことが原因で、後々トラブルに巻き込まれるケースがあります。なので、できる限り身近な人で車が必要なくなった、または社会人になるから車を乗り換えると言った人で、なおかつ信頼できる人からその車の状態をよく確認してから購入することをお薦めします。
また一番安心なのが、親や兄弟が乗っていた車をもらうことです。僕の友達は、父親からアウディをもらっていました。羨ましいですね…!
僕のケースのような、一時抹消から再び乗れるようにするためには少し手間がかかります。もし車検が切れていなかったら名義変更だけですむので、可能であれば車検が切れる前にもらうといいでしょう。
そして車検の時期がきたらユーザー車検を利用することで費用を抑えることができます。しかし、毎年ユーザー車検を受けることはあまりお薦めしません。二回に一回はやはり、整備士に車を見てもらい安全に運転できる状態にすることをお薦めします。また、万が一のために保険の手続きも同時に進めておきましょう。
以上
(執筆:広島大学体育会自動車部 森岡)