以前、廃車の解体作業工程で優れた生産性を生み出す廃車解体機「ニブラー」のご紹介をしましたが、
今回は各企業にとっての廃車解体機の必要性について考えてみたいと思います。
まず、廃車の解体作業を行う企業にとって、廃車解体機を導入するメリットは他でもない、生産性の向上です。
もちろん、解体機を操作する技術(つまり作業員のマンパワー)によって実際の作業台数の差は出るものの、
1日に解体する自動車が多ければ多いほど、その企業は解体機の必要性を実感することでしょう。
また、この廃車解体機は、まさに自動車解体のために開発された重機といえ、日々進化を続けています。
例えばアームの先に取り付けられた爪のような形状の摘んだり挟んだりする部分ですが、こちらは年々刃先が細くなってきていて、
それはより細かい作業を可能にしています。そして、ハサミの部分の強度も上がっており、
特に昨今の自動車は安全性を重視して造られているため、超高張力鋼板を代表とした、とても頑丈な材質を使用したものも多く、
それらに耐えうる耐久性を追求したものが続々と登場しています。
これによって解体機の寿命も一昔前は3年と言われていたものが今では8年(もちろんメーカーによって差がありますが)とも言われ、どんどん伸びてきているのです。
では、自動車解体機を導入することによって考えられるデメリットとは何でしょう。それは、やはり第一に導入コストが考えられます。
自動車解体機は廃車作業に非常に優れた機能を備えていますが、いざ新品を導入しようと考えれば、1台約2,000万円はかかると言われています。
もちろん、それだけ生産性が上がるわけですから、長い目で見れば減価償却はできますが、それにしても決して安い買い物ではありません。
また、作業の効率や生産性を考えず、「より丁寧な解体」という点を突き詰めれば、
重機を使うよりも従来の手作業のほうが精度は上がるといえるでしょう。いくら重機の性能が上がってきているとはいえ、
長年の経験のある作業員の技術にはまだまだかないません。
現状として、実際に自動車解体機を導入していない業者もたくさんいるのです。
これらの業者にとっては、やはり1日の解体作業の台数に対する投資として、新品の解体機を導入することはそれほど魅力的ではないという事になります。
つまり、数ある自動車解体企業の中でも、各事業の形態や規模によってその必要性が変わってくると言えるのではないでしょうか。
また、現在、業界の中で自動車解体機の中古車市場というものが確立されていないという点も、
重機の導入に二の足を踏んでいる業者の大きな理由と考えられています。
もし、このような中古市場をつくることができたなら、これから自動車解体機を導入したいという企業も増えるのではないでしょうか。
自動車の中古市場はあるのに、解体機の中古市場はない。これが廃車解体機の普及のカギとなっているように思えます。