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自動車の灯火類について

どうもこんにちは静岡大学自動車部です。今回は、自動車についているいろいろなライトについて説明します。

自動車には何個もライトがついていますが、それぞれどんな役割を持っているか知っていますか?それぞれのライトが持っている意味を知って、うまく使用して、夜も安全で快適な運転をしていきましょう。

クルマの印象を強く左右するヘッドライト
<クルマの印象を強く左右するヘッドライト>

①方向指示器(ウインカー)

これは一番、使用する機会が多いライトですよね。名前の通り移動する方向を指示するもので、主に右左折するときに使われます。右に方法指示器を出すときは方向指示レバーを右に倒し、左に方向指示器を出すときは方向指示レバーを左に倒します。

また、方向指示器にはハイフラッシャー現象というものが起きます。この現象は方向指示器が高速点滅する現象です。これは運転手に方向指示器の玉切れを知らせています。このハイフラッシャー現象をしている場合は玉切れを起こしていて、電球を変えていないということで整備不良扱いになります。方向指示器以外に玉切れを教えてくれるものはありません。ハイフラッシャー現象が起きていたら早急に電球を変えるようにしましょう。

②車幅灯(スモールランプ)

この車幅灯は自分が運転している自動車の位置をほかの自動車に知らせるためのライトです。ヘッドライトスイッチは何もしていなければ通常offになっています。

通常の何もしていない状態でのオフの状態
<通常の何もしていない状態でのオフの状態>

この状態からヘッドライトスイッチを一段ひねると車幅灯が点灯します。また、車幅灯を点灯させたときに一緒に尾灯と番号灯が点灯します。これは一般的な車だと、豆電球のような小さな電球が光るものが多いです。

1段ひねって車幅灯、尾灯、ナンバー灯がついた状態
<1段ひねって車幅灯、尾灯、ナンバー灯がついた状態>

車外から見た車幅灯
<車外から見た車幅灯>

③前照灯(ヘッドライト)

前照灯は夜間に、自動車の進行先を照らすためのライトです。前照灯は車幅灯がついた状態から、さらにもう一段ひねると点灯します。

前照灯が点灯するときのヘッドライトスイッチの位置
<前照灯が点灯するときのヘッドライトスイッチの位置>

また最近の自動車には、ヘッドライトのオート機能がついているものが多いです。ヘッドライトスイッチをAUTOの位置にしておくと、暗くなると自動的にヘッドライトを点灯してくれます。外の明るさによって車幅灯のみを点灯するか、前照灯も点灯するかの判断も自動で行ってくれます。この機能を使うことで、つけ忘れを防ぐとともに消し忘れによるバッテリー上りも防ぐことができ大変便利な機能になっています。

前照灯にはロービームとハイビームというものが存在します。法律でロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」、ハイビームの正式名称は「走行用前照灯」となっています。名前からわかるように、夜間の走行ではハイビームが基本です。ハイビーム点灯中にはメーター内にハイビームのマークが表示され、ヘッドライトスイッチを置くに押し込むと点灯します。

ハイビームを点灯したときにメーター内に表示されるハイビームのマーク
<ハイビームを点灯したときにメーター内に表示されるハイビームのマーク>

また、ヘッドライトスイッチを手前に引いている間だけハイビームになります。ロービームの照射距離は40m、ハイビームの照射距離は100m先を照らすことができるものと定められています。

自動車が、時速60Kmで1秒間に進む距離は16.667mです。時速60Kmでロービームの照射距離である40m先に到達する時間は、わずか2.39秒…!ハイビームの照射距離である100m先に到達する時間は、5.99秒ですので、3.6秒の差があります。

乾いた道路で、時速60kmから急ブレーキを踏んで停まるには、空走距離12m+制動距離20m=32mです。急ブレーキを踏んで停まれる32mは、ハイビームはロービームに対して、60mのアドバンテージに余裕が出来ます。このため、対向車がいないときはハイビームを使い、対向車が来たときのみロービームを使うのが前照灯の正しい使い方です。

そして、この前照灯には大きく3つのものがあります。

(1)ハロゲンヘッドライト

ハロゲンヘッドライトのH4バルブ
<ハロゲンヘッドライトのH4バルブ>

このヘッドライトは一番シンプルなもので、豆電球でもおなじみのフィラメントに電気を流して発光させています。3つのヘッドライトの中では一番暗く寿命も一番短く、消費電力が一番大きいです。

しかし、消費電力が大きく発熱量が多いため、積雪地域ではこの熱でライト部分に載った雪を解かせるという長所もあります。

また、これはマルチリフレクター方式を採用していることが多いです。この方式は、ハロゲンバルブが多数の反射板に囲まれていて、この反射板で光を集めることで前方を照らすという仕組みです。

ハロゲンヘッドライト(ロービーム)
<ハロゲンヘッドライト(ロービーム)>

(2)キセノンヘッドライト

キセノンヘッドライトのHIDバルブ
<キセノンヘッドライトのHIDバルブ>

このヘッドライトはアーク放電を利用して、発光しています。このヘッドライトの特徴はハロゲンヘッドライトよりも明るく、寿命が長く、消費電力は3つの中で中間に位置します。

キセノンヘッドライトは明るいヘッドライトですが、光量が100パーセントになるまでに若干に時間が必要になります。また、これはプロジェクター方式を採用しているものが多いです。この方式は日常でも使われているプロジェクターのような見た目をしています。

キセノンヘッドライトはハロゲンヘッドライトに比べるとかなり明るいので、マルチリフレクター方式を利用すると、光が拡散してしまい対向車や歩行者の迷惑になってしまいます。そのため、内部で反射させた光をレンズに集め、前方を照射するというプロジェクター方式を利用することで、無駄なく必要なところにのみ照射することができます。

(3)LEDライト

LEDヘッドライトのLEDバルブ
<LEDヘッドライトのLEDバルブ>

このヘッドライトは、その名の通りLEDを使用したヘッドライトです。LEDはハロゲンヘッドライトよりも明るく、キセノンヘッドライトと同等の明るさです。また、この3つの中で寿命が一番長く消費電力も一番小さいです。

LEDヘッドライトはキセノンヘッドライトと違い点灯した瞬間に100パーセントの光量を出してくれます。またこのヘッドライトでもキセノンヘッドライトと同じくプロジェクター式を採用しているものが多いです。明るく寿命が長いというメリットがありますが、値段もこの3つの中で一番高いことが短所となっています。

最近発売されている自動車では、グレードによりヘッドライトが変わっています。グレードが低いと多くの場合ハロゲンヘッドライトになっており、グレードが上がるとキセノンヘッドライトやLEDヘッドライトになっています。

また、ハロゲンライトからLEDヘッドライトに変えるためにはバルブを差し替えるだけですがこの時にいくつか問題があるので注意が必要です。

一つ目は、放熱の問題です。LEDバルブは熱に弱いのでただバルブを差し替えるだけだとうまく放熱がされず、LEDバルブの寿命が大幅に縮まる可能性があります。このため、LEDバルブに替える際には放熱対策がしっかりとされているか確認することと、冷却装置を含むLEDバルブが大きさの問題で付けられない可能性もあるので取り付け可能かを確認してくことが重要になっています。

またLEDヘッドライト装備車には、ヘッドライトウォッシャーが装備されます。これは降雪時など気象状況時に、ハロゲンバルブは放熱による融雪が期待できますが、LEDバルブの発熱量ではヘッドライトに貼りついた雪は融けないので、ウォッシャー液を吹付けて対応するためです。

LEDヘッドライトウォッシャー
<LEDヘッドライトウォッシャー>

二つ目は、光軸がずれる可能性があるということです。バルブが変わるので、照らす場所が変わる可能性があります。ヘッドライトはただ進行先を照らしていればいいというわけではなく、安全基準を満たした照らし方をしている必要があります。

この基準を超えることができないと車検に通らなくなります。視界も悪くなりますし、歩行者や自転車にもまぶしさを感じさせています。このような事態を避けるために、光軸の調整はプロにお任せするのが一番確実で早いでしょう。

LEDの大きなメリットといえば消費電力が少ないことです。自動車はエンジンがかかっているときには絶えず、オルターネーターという発電機を回しています。消費電力が少なくなるということは、この発電機への負荷も少なくて済むことにつながります。この効果は、特に電気自動車で大きな効果を発揮します。

電気自動車は、すべての電気をバッテリーから賄っています。そのため、ヘッドライトの消費電力を下げるだけでも航続距離に影響します。また、配向性の自由が広がる効果があります。LEDヘッドライトは、複数のLEDバルブを使用しているものが多いので、点灯するLEDを組み合わせることにより明るい部分を最大限に広げることも可能になっています。

(余談)ずっと自動車に乗っていると、少しずつヘッドライトが黄色くなってきませんか?ヘッドライトが黄ばんでいく主な原因は太陽からの紫外線です。対策としては、駐車するときにカーポートやガレージに入れることで黄ばみにくくすることができます。

屋根がない駐車場の場合は、カバーをかけることで黄ばみにくくすることができます。もしそれでも黄ばんでしまったら、黄ばみを除去しておきましょう。黄ばんだままにしておくと光量が不足して視界が悪くなり、最悪の場合車検にも通らなくなる恐れがあります。

一番お手軽な黄ばみとりは、ヘッドライトクリーナーを使用することです。セットのものを購入しておけば、問題なく黄ばみを取れますよ。

④霧灯(フォグライト)

名前の通り、霧の時に効果を発揮するライトです。霧灯のスイッチは主に2種類あり、ヘッドライトスイッチの左側の霧灯スイッチをひねるか、ボタンを押して点灯させます。霧灯はハイビーム同様にメーター内に霧灯のマークが表示されます。前照灯よりも下のほうに設置されていて、下向きに光を照射させるので霧の影響を受けにくいライトになっています。

霧灯の位置づけは前照灯とは別の白か黄色の光を発する補助灯です。補助灯という位置づけなので、霧灯がついていない自動車も多数ありますが、ついている方が悪天候時に視界が良くなります。

霧灯には白と黄色が使われることが多いのですが、白のほうが人気色となっています。黄色は白に比べて不人気ですが、波長の関係で悪天候時は黄色のほうが強い色になります。

またこのライトは車両のグレードにより、大きく異なります。グレードが低いものだと霧灯そのものがついていないものも多いです。グレードが上がっていくとハロゲンフォグランプになりさらにグレードが上がるとLEDフォグランプになります。

⑤バルブの種類

またヘッドライトのバルブを自動車にはめて使用します。そしてバルブはいくつかの種類があります。ヘッドライトのバルブはH1,H3,H3a,H3c,H3d,H4,H4U,H7,9005,9005J,9006,9006J,702Kの種類があります。今回は数多くあるバルブの中でも使われる機会の多いH4というバルブを詳しく説明します。

H4の最大の特徴は、ハイビームとロービームを1つのバルブで切り替えているということです。ハイビームとロービームのフェラメントが、1つのバルブ内に一体化しているので、ハイビームとロービームでそれぞれバルブを用意することなく一つのバルブで済みます。

また、ロービームとハイビームを別々のバルブで点灯している場合はロービームの時はロービームのみ点灯しますが、ハイビームの時はロービームとハイビームの両方のバルブが点灯します。しかし、H4バルブはどちらか一方のみしか点灯しません。

H4バルブ(2本のフェラメントが見える)
<H4バルブ(2本のフェラメントが見える)>

おわりに

今回はヘッドライトについて説明させていただきましたが、ヘッドライトの役割や使い方は理解いただけましたか?この記事が少しでも夜間の安全運転に役立てば嬉しいです。読んでいただきありがとうございました。

以上

(執筆:静岡大学自動車部)

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