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自動車の安全基準と使用素材の変化

こんにちは。名古屋大学自動車部です。「自動車のボディ素材として用いられているものは?」と聞かれて最初に思い浮かぶものは、おそらく“鉄”でしょう。このようにボディ素材には鉄が最も一般的なものとして用いられているわけですが、このほかにも普及しているものとして、アルミやFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)などが挙げられます。

もちろんこれらが頻繁に用いられているのにはワケがあり、そのうちの一つとして安全基準があげられます。自動車の安全基準とボディ素材には密接な関係があるのですが、今回はそこに目を向けて書いていこうと思います。

安全評価基準

最初に、自動車の安全に対する評価がどのようにして行われているのか見ていきましょう。

日本の安全評価基準

まずは、日本で用いられている安全に対する基準がどのように決められているのかを見ていきましょう。

日本では、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が行っているJNCAPという評価が基準となっています。JNCAPには衝突安全性能評価・予防安全性能評価・チャイルドシート安全性能評価の3種類があり、主に販売台数の多い車種が評価の対象となっています。

上記の3つのうち衝突安全性能評価に目を向けると、この評価では、乗員保護性能評価(100点)・歩行者保護性能評価(100点)・シートベルトリマインダー評価(8点:シートベルトリマインダー装置の作動用件の確認)の合計で5段階評価が行われています。今回はボディ素材と密接な関係を持つ、乗員保護性能評価に焦点を当てていきます。

乗員保護性能評価では、以下の検査が行われています。フルラップ(時速55kmでコンクリート製のバリアに正面衝突)・オフセット(時速64kmでアルミハニカムに運転席側を衝突(オーバーラップ率40%))・側面衝突(静止状態の試験車に1300kgの台車が時速55kmで側面衝突)・後面衝突(停止中に時速36.4km(速度変化時速20km)での衝突の衝撃を再現)

実はこれらの評価基準は年々厳しくなっており、今の車と昔の車の衝突比較では、驚くほどの違いが出ているのです。YouTubeに多くの動画が上がっているので、是非見てみてください。

世界の安全評価基準
欧州

つぎに欧州に目を向けてみると、ユーロNCAPというものが行われています。ユーロNCAPにおいて乗員保護性能評価に相当するものでは、以下の検査が行われています。

フルラップ(時速50kmでコンクリート製のバリアに正面衝突)・オフセット(時速64kmで運転席側をアルミハニカムに衝突(オーバーラップ率40%))・側面衝突(静止状態の試験車に1300kgの台車が時速50kmで側面衝突)・サイドポール衝突(時速32kmで直径25.4cmの柱に側面衝突)・後面衝突(停止中に速度変化時速16-24kmでの衝突の衝撃を再現)・自動緊急ブレーキシステム(AEB)

このように、日本と同様の4つの検査に加えて、サイドポール衝突検査と自動緊急ブレーキシステム検査が行われています。

サイドポール衝突検査を行うことにより、より側面の安全性を高める狙いがあります。エンジンルームやトランクなどがある前後面に比べて側面はドア1枚しかなく、事故の際に生死を分ける箇所と言っても過言ではありません。

日本における側面衝突検査では、つい最近の平成29年度までは台車の重さが1300kgではなく950kgであったため基準が厳しくなったばかりではありますが、このサイドポール衝突検査もいつか追加されるのかもしれません。

そして注目すべきは自動緊急ブレーキシステム検査(AEB)です。これはつい最近の2016年に追加された検査なのです。最近の車には多く搭載されているこのシステムが評価の対象となったのも、時代の変化と言えるでしょう。この検査では、停止中の車や走行中の車、横断している歩行者などさまざまな状況に対して検査が行われており、とても興味深いです。もちろんこの検査の様子もYouTubeに上がっていますので、是非見てみてはいかがでしょうか。

米国

次に、米国を見ていこうと思います。政府機関によって行われているNCAPというものがありますが、今回はより厳しいとされる米国道路安全保険協会(IIHS)が行っている試験を見ていきます。このIIHSによる検査において乗員保護性能評価に相当するものでは、以下の項目が行われています。

スモールオーバーラップ(時速64kmで運転席側及び助手席側を衝突(オーバーラップ率25%))・オフセット(時速64kmで運転席側を衝突(オーバーラップ率40%))・側面衝突(静止状態の試験車に1500kgの台車が時速50kmで側面衝突)・屋根強度(5インチ変形するまで屋根を加圧 )・後面衝突時頸部保護性能(時速32kmでの衝突の衝撃を再現)・前面衝突予防性能(ユーロNCAPにおけるAEBと同様)・ヘッドライト性能(夜間の視認性、対向車への幻惑度合い)

この評価には、IIHS独自のものがいくつか組み込まれているのが分かります。まずこのIIHSにはフルラップ評価がありません。とはいっても米国ではNCAPでフルラップが行われているため、特に問題はありません。

そして注目すべきものが、スモールオーバーラップです。この検査内容はオフセットとほぼ同じですが、オーバーラップ率が25%となっています。実はこの検査で、同じ安全レベルだと思われていた自動車にも大きな差があることが分かったのです。実際の事故で見ても、完全な正面衝突よりかはオフセットした正面衝突のほうが多く、より実用的な評価結果であると言えるでしょう。

次に側面衝突の検査内容を見ると、台車の重量が1500kgと日本より重くなっています。これはアメリカではより大きな車が多いという実情による結果であり、より厳しい評価基準と言えるでしょう。さらにIIHS独自のものとして、屋根強度やヘッドライト性能の検査というものもあるのです。

このほかにも、オーストラリアのA-NCAP、韓国のKNCAP、中国のC-NCAPなどがあります。このように他国の状況を見てみると、それぞれの国の交通事情なども伺えて、大変興味深いですね。

ボディ素材

ここまで安全に対する評価基準を見てきたところで、その評価を高めるべく用いられているボディ素材について見ていきます。

最も一般的に用いられているもので、我々の車のほとんどがこれでできていると言ってもよいでしょう。実際に自動車に用いられる鋼板は鋼鉄を板状にしたものであり、安価で加工がしやすいのが特徴です。車のボディは複雑なカーブを多数有していますから、加工しやすくそれに安価ということは大きなメリットとなるのです。

しかし今は燃費競争の時代。車を選ぶ際の大きな判断基準として燃費があげられることば、言うまでもありません。そしてボディに重い鋼板を用いることは、燃費の面で大きなデメリットともなってしまうのです。

そこで近年多用されているのが高張力鋼板(ハイテン:High Tensile Strength Steel)です。普通の鋼板に比べて引張強度に優れ、コストも跳ね上がらず、さらに同じ強度のレベルを実現するのにより薄く、より軽くできるのがメリットと言えます。すなわちコスト・軽量さ・強度のバランスが良く、大量生産に最適な素材なのです。

しかしデメリットももちろんあります。それは、強度があるものほど靱性が低下することです。つまり、強度に優れるハイテンは加工によって破壊されやすく、成形が難しいのです。そのため、自動車の内部の補強部材を中心に用いられてきました。

ホンダ N-BOX
<ホンダ N-BOX>

そこで注目すべきなのが、2017年に発売が開始されたホンダN-BOXです。センターピラー外板部品に1180MPa級のスーパーハイテン材を世界初採用したのです。

N-BOXのセンターピラー
<N-BOXのセンターピラー>

これによって内部の補強部材が必要ではなくなり、さらなる軽量化が可能となりました。N-BOXがあんなに売れているのも、このような努力の結果なのでしょう。このように、ハイテンもより複雑な形状の外板材や骨格部品として用いることができるように進化しているのです。

アルミ

さて、次に取り上げるのはアルミです。ホイールでも鉄チンよりもアルミホイールというように、アルミは鉄よりも圧倒的に軽く、なんと比重は鉄の3分の1しかありません。とはいっても強度も3分の1しかないので、単純に考えれば同じ強度を保つのに体積が3倍必要となってしまいます。

しかしアルミは複雑な形状にできるため、設計次第で強度を上げることが可能です。最終的には、鉄に対して3分の2程度の重量に抑えることが可能なのです。そのため、一部のスポーツタイプの車に用いられています。

ここで、注目すべきある車があります。

ホンダ初代インサイト
<ホンダ初代インサイト>

この特徴的な外観をしたホンダ初代インサイト。実はこの車、数少ないアルミボディの日本車の一つなのです。ハイブリッドカーであるためモーターを搭載していますが、それにもかかわらず車両重量は850kgしかありません。

しかし日本車にアルミボディの車が少ないのは事実です。もちろんこれには理由があり、それは精製する際に多くの電気を必要とするアルミは、電気料金が高い日本ではコストがかかってしまうのです。これがデメリットとしてあげられます。

FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)

FRPとは、様々な繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料のことです。この混ぜる繊維の種類によって分類されます。自動車の外装パーツに用いられることが多く、エアロパーツはほとんどがこれでできています。

FRP製のフェンダー
<FRP製のフェンダー>

FRPのなかでも一般的なものが、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)と炭素繊維強化プラスチック(CFRP)というものです。GFRPは強度が鉄ほどはありませんが安価であることがメリットであり、個人でエアロパーツを自作する際にはよく用いるものです。

これに対してCFRPは強度が鉄以上にあり、より軽量ですが、デメリットとしては高価であることが挙げられます。CFRP、すなわちカーボンはみんなの憧れでもありますが、そのようなものにはお金がかかるのが世の常なのです。

新素材(セルロースナノファイバー)

鉄に変わるボディ素材として最近では様々なものが開発・改良されていますが、今回はその中でも最も興味深く感じたセルロースナノファイバー(CNF)について紹介したいと思います。セルロースナノファイバーとは、木材から得られる繊維(パルプ)を1ミクロンの数百分の一以下のナノオーダーにまで微細化した、世界最先端のバイオマス素材のことです。

この素材の重要な特徴として、軽く、強いことが挙げられます。鉄に比べ重さが5分の1なのに対し、強度はなんと5倍以上であるのです。さらに熱による変形が少ないため、自動車の外装部品のみならずインテークマニホールドといったものへの応用も期待されています。

ただし樹脂とCNFは相性が良くなく混合に難があり、さらにはコスト面など実用化に向けた課題は未だ多々あることは事実です。ですが、今後改良を重ねてどのようになってゆくのか、個人的にはとても楽しみに感じています。

終わりに

さて、今回は自動車の安全基準とボディ素材の2パートに分けて書いてきましたが、安全を考慮しながらより良い素材を用いて自動車を創ることは容易ではありません。

自動車が世に出てきたときにはもちろん木製であったわけですが、安全基準の変化によって鉄製、そのなかでも鋼板からハイテンへと変化してきたわけです。すなわち、安全基準とボディ素材には密接な関係があるのです。

この先、安全基準の変化や技術の向上によって、自動車に使われる素材がどのようなものに変わっていくのか、非常に興味深いですよね。お読みいただきありがとうございました。

執筆:名古屋大学自動車部

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