現在、廃車となった使用済み自動車の、およそ95%以上が何かしらの方法で再利用されています。エンジンやミッション、タイヤにホイール、バンパーにフェンダー、ドアミラーなど部品の機能が生きているものは、そのまま取りはずして、中古パーツやリビルトパーツとして修理部品などに使われます。また、そのまま部品としては使用できないものも、鉄や銑鉄、アルミ、銅、鉛、金、白金等の素材原料としてリサイクルされて様々な製品として生まれ変わっています。
このように、自動車を形成している1万点から2万点以上と言われるほとんどの部品は、一度廃車になっても、また次の使い道があるわけですが、それでもどうしてもリサイクルできないものもでてきます。しかし、一昔前までこのリサイクルリサイクル率は80%と言われており、ここまでのリサイクル率の向上はリサイクル業界の努力による目覚ましい進歩と言っていいでしょう。
ミスター廃車マンでお客様から買取った車も、さまざまな形でリサイクルされ、新たに生まれ変わっています(なお、廃車買い取りの査定はこちらからできます)。
エアバック作動処理
廃液類回収
廃燃料の回収
ELV解体
まずは、廃車がどのようにリサイクルされているのか具体的にご紹介しましょう。
ミスター廃車マンが使用済みとなったお客様の自動車を引き取らせていただいた後、真っ先にしていることは、自動車リサイクル法で定められている、カーエアコンに使用されているフロンガスやエアバッグの回収や作動処理です。これは自動車リサイクル券にその処分費用負担が記載されています。
さらにバッテリーやリユースが不可能な廃タイヤ、さらには残存している古いガソリンやエンジンオイルなどの廃油や廃液といった適正な処理が必要なものを安全に取り外して専門の処理業者に引き渡すことです。
これらを取り除いた状態にしてから、自動車から使える部品や素材を回収するため、解体をしていきます。
その後は部品の取り外された自動車ガラをプレス機で圧縮してから、破砕業者と呼ばれるリサイクル工場に運びます。
そこではシュレッダーマシンという破砕機によってさらに自動車を10㎝から20㎝サイズ程度に粉々に粉砕して、そこから再利用できる鉄やアルミなどの金属を磁力選別や比重選別機にて素材別に分けていきます。
ここで分別された金属は様々な製品の原材料として再利用されているのです。
さて、ここからがいわゆるリサイクルが難しいと言われる部分になるわけですが、粉々になった使用済み自動車から金属などの原料として使える素材を取り除いて残ったもの、それが「シュレッダーダスト」と呼ばれる自動車から出る産廃物と考えられているものです。
シュレッダーダストはフロントやウィンドウのガラス、ヘッドライトやテールランプに使われている電球関係、シートの中身のスポンジや主に内装のダッシュボードなどに使われているプラスチック製品などが、破断されることによってごちゃごちゃに混ざることでそれぞれの素材に分けることが難しくなってしまった集まりの総称です。
これまでシュレッダーダストは分別して再利用するにもコストに見合わない等の理由により、再生することはおろか、普通に燃やしてしまうとダイオキシン等の有害物質を出すため、産廃として管理型最終処分場に埋めるしかありませんでした。その費用負担として、自動車リサイクル券にシュレッダーダスト料金として負担が記載されています。
しかし、プレス機の圧縮性能向上による容積減少での運搬効率向上と、自動車リサイクル法に全部利用という考えを採用した事により、「エコプレス」と呼ばれる、環境大臣・経済産業大臣の認定を受けた、通称“31条認定”と呼ばれる精緻な解体方法の採用が可能となりました。
もちろん大臣の認定を取得するので厳しい審査が自動車メーカーの委託機関によって実施されるので、どの業者でも実施可能な訳ではありませんが、認定取得すればプレスした自動車をシュレッダーマシンにかけることなくそのまま電炉に入れて鉄は素材として、シュレッダーダストは予燃させ燃焼することで埋立てる事無く処分ができるようになります。これが著しいシュレッダーダストの削減につながっています。もちろん、これで全ての産廃問題が解決したわけではありませんが、このように、日々自動車リサイクルは進歩し続けているのです。
ミスター廃車マンも、いつの日か使用済み自動車を100%リサイクルできるような社会を目指して、自動車リサイクル業界全体で協力しあいながら、これからも真摯に環境問題と向き合っていきたいと思っています。