皆さんこんにちは、北大自動車部です!
今や街中で滅多に見なくなった、三菱のコンパクトカーである【ミラージュアスティ】について、大いに語ります!
そもそも、皆さんはミラージュアスティという車を覚えていますか?
「ミラージュなら聞いたことあるけど・・・」
「もしかしてランエボの、クーペバージョン?」
みたいな声が聞こえてきそうですね…笑。
なにを隠そう、かく言う私も自動車部に入るまでは、アスティという車は知りませんでした。たまたま、実家の近くにアスティに乗っている方はいましたが、私は
「後ろ姿はランエボなのに、なんでドアが2枚なんだろう??」
などと、見ていました。
しかし、一度アスティに乗ってしまうと、その魅力に取りつかれてしまいます!
そんなミラージュアスティについてこのコラムでは、その歴史やハッチバックのミラージュやそのほかの車とも比較していきます。
ミラージュとは、英語で蜃気楼の意味です。もっとも三菱自動車の意向としては、フランス語での神秘的でロマンチックを意味する方を意図していました。
そしてアスティは造語です。ランサーとは姉妹車種になります。車種のメインは、ハッチバックで、他にセダンやクーペなど多様なラインナップで販売されています。
まずは初代ミラージュについてです。
販売期間はハッチバックが昭和53年3月~昭和58年10月、セダンが昭和57年2月~昭和58年10月です。
エンジンは1.2L(G11B)・72PS/1.4L(G12B)82PS/1.6L(G32B)88PSで、全て横置きSOHC直列4気筒のガソリンエンジンです。駆動方式は、全車FFです。
そして、初代ミラージュの最大の特徴ともいえるのが“副変速機付き4速MT”(スーパーシフト)です。副変速機とは、パワー/エコノミーレンジの2段階に切り替え可能で、実質的に8速となります。
また、低負荷時に2気筒のバルブを閉じるMDエンジンが開発されました。MDエンジンは10モード燃費で20km/Lの低燃費を実現しました。
ちなみに、ミラージュとは「神秘/ロマンチック/蜃気楼」を表すフランス語だそうです。
2代目は、「元気なカジュアルビークル」を基本テーマに開発されました。
販売期間は3/5ドアハッチバックが昭和58年10月~昭和62年10月、セダンが昭和58年10月~昭和63年1月です。ライトバン/ステーションワゴン:昭和60年2月~平成4年5月です。
エンジンは、1.3L(G13B)/1.5L(G15B)/1.6L(G32B)/1.8L(G37B)。ワゴンのみ/1.8Lディーゼル(4D65)(ハッチバックを除く)です。駆動方式はFFと、フルタイム4WDが設定されました。
また、昭和60年からは、ワンメイクレースの「ミラージュカップ」が開催され人気を博しました。
バブル期に登場した3代目は、ギャランを小さくしたデザインとなった。
販売期間はハッチバックが昭和62年10月~平成3年10月、セダンが昭和63年1月~平成3年10月です。
エンジンは1,3 L(G13B)/1.5L(G15B)/1.6L(4G61)/1.8Lディーゼル(4D65)/です。特に4G61型エンジンは、ギャランGTO以来の1600㏄・16バルブDOHCエンジンでした。このエンジンを搭載したスポーティーモデルのサイボーグでは、ターボで145馬力、NAでは125馬力のスペックを誇りました。
また、平成元年のマイナーチェンジで、ターボモデルが160馬力にパワーアップされました。
いよいよ「アスティ」の登場する4代目です。
販売期間はハッチバックとセダンが、平成3年10月~平成7年10月。アスティは、平成5年5月~平成7年12月です。
エンジンは1.3L(4G13)/1,5LMVV(4G15)/1,5L(4G91)/1,6L(4G92)/1.6L V6(6A10・4ドアのみ)/1.8Lディーゼル(4D65・4ドアのみ)です。駆動方式はFFと4WDです。ホンダのVTECエンジンに対抗するために、4G92型エンジンにMIVECを搭載し175馬力にパワーアップしました。
また、3ドアハッチバックのリアをノッチバック化し、ホイールベースを60mm延長した2ドアクーペのアスティが登場しました。
アスティの詳細については後述します。
モデルチェンジに伴いミラージュカップも2代目のターボモデル(C53A)から、3代目のNA・FFのミラージュRS(CA4A)に変更されました。
また、現在全日本ラリーに参戦されている奴田原文雄選手は、平成4年と平成5年にハッチバックタイプのミラージュ4WDであるCC4A型で、全日本ラリーに参戦し数々の優勝を飾っています。
5代目で昭和53年から販売されてきたミラージュは、その歴史に一旦幕を下ろします。
販売期間はハッチバックとセダンが平成7年10月~平成12年5月。アスティは、平成7年12月~平成12年5月です。
エンジンは1,3L(4G13)/1.5LMVV(4G15・4ドアのみ)/1.5L(4G15)/1.6L(4G92)/1.8L V6(4G93・4ドアのみ)/2.0Lディーゼル(4D68。4ドアのみ)です。駆動方式は、FFと4WDです。
5代目からアスティにも競技グレードのRSが追加され、サーキットをはじめ、様々なモータースポーツの場で現在も活躍しています。ちなみに北大自動車部では5代目ミラージュが4台、今も現役で活躍しています。
様々な人々を魅了してきたミラージュですが、バブルはじけた経済不況の波には抗えず、平成12年5月に販売終了となりハッチバックは既存のミラージュディンゴと統合、セダンとアスティはランサーと統合され、ランサーセディアとなりました。
5代目が販売終了してから12年後の平成24年8月に、三菱の世界戦略車として6代目ミラージュが復活しました。
生産国は、タイです。日本国内では作られていません。先代よりも車格を小さくし、全幅に関しては他の一般的なコンパクトカーより、3cmほど小さく設計されています。
エンジンは、1.0Lと1.2Lの直列3気筒DOHC12バルブのMIVECエンジンが搭載されています。駆動方式はFFのみで変速機もCVTのみとなっています。
価格は138万円からで低価格なモデルとなっています。かなりスポーツ色が薄れた6代目だが、昨年9月のラリー北海道にスウェーデンのMパート(三菱のモータースポーツ部門を担う、ラリーアートのスウェーデン法人)が開発したミラージュが2位に入るなど、今後の活躍が期待されています。
だいぶ前置きが長くなりましたが、ここからはアスティの歴史(そんなに長くはないです
が・・)や、筆者自身の体験談、アスティのカスタム例などを紹介していきます。
まずアスティの歴史ですが、上述のとおりアスティがラインナップされていたのは、4代目と5代目で、期間は平成5年の5月から平成12年5月までの7年間です。
初めてアスティがラインナップされた4代目では廉価グレードの1.3V、1.5Z、MIVECエンジン搭載のRXが販売されました。
また1994年1月から3月までの3か月限定で「スーパーアスティ」が販売されました。
この車はRXグレードに
・大型リアスポイラー
・プロジェクターヘッドライト
・ワイパーフィン
・MOMO製ステアリング
・フルオートエアコン
などが装備され、ナイトブルーという専用色が用意されました。
専用色以外に黒色もあった、生産台数は500台と希少なアスティの中でも、とりわけ貴重な車です。
5代目では1.3LのアスティV、マリオン、アスティC、1.5Lのアスティスポーツ、アスティZ、アスティS、1.6L MIVECエンジン搭載のアスティRXバージョンR、アスティRX、アスティZR、そして競技仕様のRSがラインナップされました。また、5代目からは、ホイールベースが3ドアハッチバックと共通になりました。
スポーツ性の高いRXバージョンRとRSを除いて、全車ABSと運転席のエアバックが標準装備されるなど、当時としては、高い安全性を誇っていました。
さて、ここからは筆者が乗っている5代目のアスティRSについて、紹介します。
RSは競技走行を主な目的としているので、あらゆる快適装備が省かれています。
例えば、
・ABS
・エアバック
・キーレス
・電動ミラー
・集中ドアロック
・パワーウィンドウ
・遮音材
・エアコン(オプションで装着可)
・リアワイパー
などが、省かれています。
私自身の感想としては、それほど街乗りで苦労することは無いです。
ただ、筆者のアスティは後部座席をはずしていないので、希に4人あるいは5人乗車になるときがあり、その際にエンジン音がかなり車内に入ってくるので、後部座席の人の会話が聞こえにくいことは少し不便です。
しかしRS(3ドアも含む)は、走りに関して他のグレードよりもチューニングされています。エンジンに関しては、吸気・排気系が専用設計になっていて、EXマニの太さが異なっています。また、バルブにはチタン合金が採用されています。
さらに、トランスミッションはクイックシフトで、(97年~)ギア比はクロス化されています。また、ドア開口部にスポット溶接がされているなど、ボディ補強もしっかりされています。
この他にも水冷オイルクーラーや、ステアリングのギアレシオが通常よりもクイックになっているなど、様々な違いがあります。
アスティRSは3ドアRSに比べ、重量はあるもののボディ剛性に優れています。また、マフラーの取り回しの関係で3ドアは右出しになっているのに対し、アスティは左出しになっているので、アスティはパワーがあるという評価もあります。
筆者の意見としては、ジムカーナのサイドターンでは、リアの重さを感じることはありますが、むしろコーナー中は車体の挙動が安定していて、とても乗りやすい印象です。
最後にアスティのカスタムの例を紹介します。
アスティは、第2世代のランサーエボリューション(略してランエボ)と外装パーツの多くと互換性があります。そのためアスティにランエボの外装パーツを移植した、「ミラエボ」が日本国内だけでなく、海外でも人気があります。
ちなみに筆者のアスティも写真の通りエボⅤのリップ、エボⅣのアンダースポイラー、エボⅥのテールランプ、さらにエボⅧのウイングもついています。(ちなみに、筆者が乗る前からこの外装でした。笑)
さて、ここまで歴代ミラージュやアスティの歴史や、その魅力について書いてきましたがいかがでしたか?
皆さんに少しでも、アスティの良さが伝われば幸いです。筆者の私はアスティに乗り始めて、まだ1年も経っていませんが、ランエボのかっこよさとミラージュのかっこよさの両方を併せ持つアスティに、かなり心酔しています笑。
ハッチバックのミラージュさえ滅多に見なくなりましたが、さらに貴重なアスティが、皆さんの記憶にいつまでも残り続けることを願っています。
(執筆:北海道大学体育会自動車部)