こんにちは!北海道大学自動車部です。
最近の新車販売を観ていても、MT車が設定された車種が少ないですが、皆さんはどうお思いですか?
何がどうちがうのか?AT車、MT車含め、車のこれからの動向について様々な観点で見てみます!
と、その前に皆さんはAT車とMT車の違いをご存知ですか? 両者はトランスミッション、変速システムのタイプの違いです。
ATはAutomatic Transmissionの略で、変速が自動で行われるシステムです。
MTはManual Transmissionの略で、変速は手動で行います。
見た目でもクラッチの有無でわかります。
AT車の一番の良さは、乗りやすいというところです。
MT車のように、クラッチを踏んでシフトノブでギアを変速させるなどの操作は不要です。
もちろん、半クラで坂道発進させる必要もなく、坂道発進もスムーズに走れます。
一方、MT車は車の運転自体を楽しむことができます。
また、自分の技術を磨くことによってAT車よりスムーズで低燃費な運転をすることもできます。
そんなAT車、MT車ですが、冒頭でも述べた通り最近はAT車が大半を占めています。
調べてみると1980年代ではAT車の国産自動車販売比率は50%であったのに対し、今では98%以上を占めています。
このデータは2011年現在のものですが、アメリカの90%を上回る世界一の普及率となっています。
では他の国々はどうでしょうか、例えばドイツ。
ヨーロッパの中でもAT車普及率の高い国ではありますが、それでも25%ほどです。
イギリスでは20%、イタリアでは15%ほどです。
ヨーロッパでは、今もMT車が主流なようです。
この日本の高いAT車普及率の一因として、運転免許合格者数の推移が関係しています。
今では新しく運転免許を取得する60%以上の人が、AT限定運転免許で取得しています。
自分の免許でMT車を運転できない人がたくさんいる時点でMT車普及率は低くなりますし、MT車を運転できる免許を持っていても利便性などからAT車を乗る人も多くなっているのでAT車の普及率が高いのも当然ですね。
筆者の個人的感想としては、少し寂しいですね。
MT車って、こんなに楽しいのにどうして?と思います。
また、操作はAT車よりも難しいですが、エンジンブレーキもよく聞くので安定した停止もできます。
現状で新車販売されている国産乗用車で、MT車設定があるのは、
トヨタ:86、ヴィッツ、カローラアクシオ、カローラフィールダー、オーリス
日産:フェアレディZ、ノート、マーチ
ホンダ:フィット、シビック
マツダ:アクセラ、ロードスター、アテンザ、デミオ、CX-3
スバル:BRZ、WRX STI、フォレスター
ダイハツ:コペン
スズキ:スイフト、ジムニー
等です。
スポーツカーっぽい外車で、BMW、アウディ、ポルシェ、フェラーリ、色々な車が国内を走っています。
そんな高級車や外車のスポーツカーでも、日本での販売台数は圧倒的にAT車が多くなっています。
もう大手メーカーの多くはMT車を作らないのでしょうか?
しかし、有名なイギリスの自動車メーカーであるアストンマーティンCEO、アンディ・パーマー氏によると「アストンマーティンは可能な限りMT車を作り続ける」と言いました。MT車を残し続ける意味は必ずあり、一定数、一定種ではありますがしっかりとMT車が残っています。
MT車も乗れる免許をお持ちのあなた、宝の持ち腐れです。
ぜひMT車に乗って、車を走らせてみてください。
では、自動車業界の将来性、今後の展開などについてどうなのでしょうか?
自動車の性能は日々改良が行われ、より快適により安全になっています。
しかし先ほど述べたようなAT車MT車に乗り比べて、実際に車に乗ってみたりしないと新たな性能に気づけません。
自動車を種類ごとに分けてみようと言われた時、あなたならどう区分しますか。
国内車と国外車、AT車とMT車などいろいろ考え方はあります。
そんな車の動向を観察できる一つの観点として、燃料や動力源における区分が挙げられます。
「電気自動車」「ハイブリッド」は、最近の販売台数の多くを占めていますが、その動力源は何か知っていますか?
まず、概要を整理しておきたいと思います。
種 類 | 燃 料 |
---|---|
ガソリン車 | ガソリン |
ディーゼル車 | 軽油 |
LPG車 | LPガス |
天然ガス車 | CNG(圧縮天然ガス) |
HV(ハイブリッド車) | ガソリン、軽油、LPG、CNG |
PHV(プラグインハイブリッド車) | ガソリンと軽油と電気 |
EV(電気自動車) | 電気 |
FCV(燃料電池自動車) | 水素 |
ガソリン車や、ディーゼル車を知っている方は多いでしょう。
LPG車や天然ガス車を知っていた方は少ないのではないでしょうか。
LPG車はタクシーにおける普及、その他清掃車などの特殊車両に使用されています。
天然ガス車はわずかに使用されている程度で、普及には至っていないのが現状です。
現在、CNGとガソリン(軽油)を併用するタイプと、CNGのみで走るタイプが使用されていますが、LNG(液化天然ガス)車や、ANG(吸着天然ガス)車は研究のみで実用化に至っていません。
普及しているという点では、HV(ハイブリッド車)が一番です。
また、HVや電気を使ったPHV、EVや水素を使ったFCVが次世代の車は、燃料の観点から、開発が進められていくでしょう。
なぜかというと、自動車と環境問題、特にCO2排出に関しては切っても切れない関係にあるからです。
自動車は一昔に問題となりましたが、温室効果ガスを排出するので地球温暖化が進むなど環境に悪影響を及ぼしてきました。
国土交通省のデータによると日本におけるCO2排出量のうち、運輸部門(自動車や船舶、航空機等)が占める割合は17.9%でそのうち乗用車と貨物車を含めて82.7%となっています。
一番身近な自家用乗用車は、運輸部門のうち46.2%も占めています。
温室効果ガス排出量を2030年度に、2013年度比26.0%減させるという約束草案を定め世界に宣言した日本において、自動車のCO2排出量削減は不可欠です。
そのため、HV,PHV,EV,FCVなどの開発、改良が進み普及していくことは間違いないでしょう。
普及していくためには、自動車自体だけでなく消費者が利用しやすいような価格帯に設定すること、低価格の電気スタンド、水素ステーションなどのインフラ整備にも力を注いでいかなければなりません。
また自動車の生産工程という観点からもCO2排出問題が見えてきます。
自動車製造のうち、塗装、鋳造の過程が多くCO2を排出します。
解決方法として、高性能で省エネの機器を導入、工場の照明のLED化などの対策がなされているそうです。
経済産業省のデータによると2017年には高性能コンプレッサーの導入、排熱回収、配管の見直しなど細部にわたってCO2対策をしており、その効果もしっかり出ています。
省エネ機器の導入ロードマップも作成されており、今後ともCO2削減が期待されます。
このような事実を知り、我々自身も少しでもCO2削減できるよう自動車の利用方法を始め、日々の生活を見直しても良いのかもしれません。
少し脱線しましたが、とても大切なことであります。
自動車業界の動向における課題の一つとして、CO2排出量の削減を挙げました。
そのほかにもAI(人工知能)を活用した自動運転の実用化、新興国への販路拡大などが課題として挙げられます。
実は自動運転の技術にはレベルがあります。レベルは1〜5まであり、ドライバーが主体的に操作しなくてもよいのはレベル3以上です。
それ以下は、あくまで運転の主体はドライバーです。
自動運転技術は飛躍的に進歩していますが現状最新の発表車種でレベル3です。
交通状況を問わずに運転が完全自動化されるのはレベル5で、それまでにはたくさんの課題があります。特に日本は交通状況が混雑することが多く機能がそういった事情にマッチせず、いまだにレベル3の技術は導入されていません。
しかし、日本では東京オリンピックが開催される2020年をターニングポイントとして自動運転の実用化を目指しています。
自動車業界だけでなく、Googleなどの他ジャンルの企業も開発に携わっているようです。
しかし、完全な自動運転の実用化のためには技術だけでなく法律の改正も必要です。
日本も批准しているジュネーブ道路交通条約では「走行中の車には、運転者がいなければならず、運転者は適切な方法で運転しなければならない」と規定されています。
完全自動運転の自動車が見られるのは、もう少し先になりそうですね。
自動車の需要が多いのは、やはり新興国ではないでしょうか。
先進国はもうすでに自動車を利用する人はたいてい所有しており、都心部になると逆に自動車ではなく電車、地下鉄で移動するでしょう。
逆に発展途上国だと自動車を買うお金がなく、そもそも道路などのインフラ整備が整っていないのではないでしょうか。
となるとやはり新興国に最も需要があると言えるでしょう。
自動車を買えるだけの財力もありますし、インフラ整備も整ってきています。
かといって電車や地下鉄などの整備は、まだ不十分なのでより自動車が普及につながります。
このように自動車の将来性が変わっていくにつれて、自動車販売業界も様々な方向に変化して行くことになるでしょう。
自動車自体が進化しているとはいえ、EV車などが普及しているまでは至っていません。
よって、まだまだガソリン車とHV車の販売が多くなっていくでしょう。
親戚の中古車販売の営業マン、つまり販売最前線の人物にヒアリングしました。
冒頭で述べた通り、MT車よりもAT車の方が販売数は圧倒的に多いです。
販売した、ほとんどの車両はAT車でした。
このような車の普及状況はもちろんですが、ほかにももののインターネット化に伴い顧客のデータが容易に管理され、その情報をもとに分析できるようになったのでデータをうまく使えば付加価値を高めることもできます。
最近ではインタ―ネットが普及して、直接店舗に足を運ばなくても画面上で見て購入を決める人も多くなっています。
したがって、これからは消費者が心惹かれるインターネット販売を目指していくことも大切です。
そういったインターネット販売に、もう一つ欠かせない情報があります。
それは口コミです。
最近では飲食店などで多くみられますが、口コミの影響は大きいです。
いかによい口コミや良い評価をいただくかが販売利益に差をもたらすことになります。
また、消費者の客層を考えることも重要です。
トップレベルの富裕層は高級車を新品で買い、新たな車が出たらすぐ買い換えます。
その時、乗っていた自動車は売り、中古車として業者が再度売りに出します。
いくら中古車であるからといって、高級車はそれなりに高額で買えない人が多いため、価格は減少していき、5年経てば半額程度になるそうです。
逆にいえば、その時期が消費者にとっては狙いどきなのかもしれません。
ちなみに、上記画像の車は新車では1,500万円程度の車です。
件の親戚は、中古300万で購入したようです。羨ましいですね。
今回は車事情の今後の動向について、様々な観点から見てみました。
車は改良を繰り返しながら日々進化し、それに伴い自動車業界も変わってゆきます。
そういった動向を、消費者の立場から観察していくと自動車の変わった一面も見れて面白いですよね。
以上
執筆:北海道大学自動車部