こんにちは。名古屋大学自動車部です。今回のコラムではガソリンスタンドについてお話します。今日、一部の電気自動車などを除いて、ほとんどの自動車を動かすためにはガソリンや軽油などの燃料が必要です。このコラムをご覧になっている方の多くは車に給油するためにガソリンスタンドを利用したことがあるのではないでしょうか。
しかし、ガソリンスタンドと一口に言っても給油だけではない利用方法がたくさんあります。筆者はガソリンスタンドでのアルバイトを3年以上続けてきましたが、ガソリンを入れる場所でしかないと思われている方を一定数お見受けします。とっても残念です。
もっと有効活用して頂きたい!という私の願いをこめて、従業員的視点も交えつつガソリンスタンドという場所について解説いたします。なお、今回は乗用車向けのガソリンスタンドについてお話します。
まず、ガソリンスタンドにはいくつか種類があることに触れなければなりません。
“フルサービス”のお店は、給油を従業員が行うガソリンスタンドです。車で行くと、大抵のお店ではスタッフが誘導してくれます。指示に従って車を停め、油種と給油量をスタッフに伝えて、クレジットカードもしくは現金を渡せば給油してもらえる場所です。後述するセルフのガソリンスタンドよりもスタッフを多く確保する必要があるため、人件費の分だけガソリン代が高くなりがちです。
とはいえ、車から降りずとも給油が終わるために手が汚れなかったり、車の窓をサービスで拭いてもらえたりと、結構便利です。お年寄りの方で機械を操作するのが苦手な方や、体に不自由のある方にとってはセルフよりもこちらの方が都合がよいですよね。ただし、だいたいのお店が20時前後で閉まってしまうのには気をつけましょう。
最近新しくできるガソリンスタンドはほとんどが“セルフサービス”ですね。お客様が、自分自身で給油するガソリンスタンドです。1998年の消防法改正で、規制緩和された結果生まれました。
セルフサービスの店舗では油種の指定や支払いを計量機で行い、給油するという一連の流れをドライバーが行います。機械に不慣れな方は初めのうちは戸惑うかもしれませんが、機械の指示通りにすればまず給油は出来ますし、もし分からなければスタッフに聞けば教えてくれます。でも誤って間違った油種を車に入れてしまっても利用者の責任になるので、くれぐれも軽自動車に軽油を入れたり、軽油指定のトラックにガソリンを入れたりしないようにしてくださいね!
一応従業員が店内で監視していて、遠隔で給油の許可をしないと燃料が出ないようにはなっているのですが、ノズルを差し込むのを確認できても油種までは見きれないこともあります。もし不安ならフルサービスのお店に行かれるのが良いかもしれませんね。ちなみに、セルフと一口に言っても、業務を給油のみに絞った店舗もあれば、ピットで整備が出来る店舗もあります。
たまーに、見かけます。この“セミセルフ”のガソリンスタンドとは、給油のみスタッフが行う店舗のことです。フルサービスだろうと思って入ったら窓を拭いてくれない、なんて経験したことありませんか?灰皿の清掃や、窓ふきをしない分、フルサービスのお店よりガソリン代が安めに設定されています。
販売系列が違っても“レギュラーガソリン”は、どの系列の店舗でも中身は同じです。しかし、“ハイオクガソリン”はブランド毎に名前がついており、添加剤等が異なります。例えばシェルだと“V-Power”という名前がついており、エンジンの洗浄効果が高いと定評があります。もし機会があれば、ハイオクの香りを嗅ぎ比べてみてください。結構違います。僕は、V-Powerのなんとも言えない芳醇な香りが好きです(変態)。
給油が終わったら、お車のお手入れをしてあげましょう。まずは、“窓ふき”です。フルサービスの店舗なら「窓をおふきしましょうか?」と聞かれるでしょう。セルフの店舗なら、多くのお店が窓ふき用タオルを置いてくれています。せめてフロントガラスだけでも拭いてあげると、視界が良くなって運転も気持ちよく出来ますよ!
でも車のボディの汚れまで、ゴシゴシ落とすのはやめた方が良いです。水も泡もつけずに布でこすると、ボディに目に見えない傷を蓄積させてしまいます。きれいにしたいのに、ボディを傷つけてしまっては元も子もありません。きれいにしたいなら、ちゃんと洗車してくださいね。
次に、“エアチェック”です。タイヤの空気圧は、日々減っていきます。最低でも2ヶ月に一度くらいは点検してあげるとよいです。エアキャリー(空気入れ)は、置いてないお店もあるので注意です。セルフサービスの店舗でも、もし空気の入れ方が分からないようであればスタッフの方に聞いてみてください。私なら代わりにエアチェックさせて頂きます。でも、給油専門の店舗だと対応してくれないかもしれません。
以下に空気圧の点検のコツを記載しておきます。空気入れの使い方が分からない方や、なかなか空気が入らないなと思うことがある方は参考にしてください。
【①:適正値を確認する】運転席を開けたとき、もしくは給油口を開けたとき、車体のどこかにステッカーが貼られているはずです。今回の例では後輪を2.0に合わせます。
【②:バルブのキャップを外す】ホイールに付いている、バルブのキャップを外して、しっかりと空気入れのノズルをタイヤのバルブに押し込みます。「シュー」と、音が鳴っているようなら空気が漏れています。何度か試して、「シュー」と音が鳴らないくらいまで密着させましょう。そうでないと、どれだけ空気を送り込んでも大気に逃げてしまいます。
【③:まずは空気を多めに入れる】まずは空気を多めに入れ、そこから下げる方向で調節しましょう。空気を入れた瞬間は、空気圧を示す針が勢いよく跳ね上がって少し高い値を示すことが多いためです。最初に適正空気圧より高めに空気を入れて、その後に空気を抜いて調節しましょう。
今回は、2.2キロくらいまで多めに空気を入れてから、抜きます。下記の画像のタイプの空気圧計ですと、黄色い左矢印の付近のボタンを押すと、少し空気を抜く事ができます。ボタンを押している間は、空気が抜けてゆくので、短く数回に分けて空気圧計のメーター針を確認しながら空気を抜きます。
ボタンを数回押して、ぴったり2.0に合わせることができました。
【④:タイヤ空気入れアレコレ】タイヤ空気の入れ方としては、レバーを握ることが多いのです。お店によっては、空気圧を指定してからバルブに差込むタイプなど、複数の種類があります。分からない場合は、使い方をスタッフに尋ねてみるのが一番ですね。
もし車が汚れているのなら、洗車機が設置されているガソリンスタンドに行ってみましょう。水滴を拭き上げるのはセルフサービスですが、300円~1000円くらいで車をきれいに出来ます。オプションで撥水加工ができることもあります。
洗車機の使い方としては操作盤にお金を入れてボタンを押し、機械の誘導に従い、所定の位置に車を停めるだけです。拭き上げも含めると30分ほどで終わるのでお出かけの前日などにガソリンスタンドに寄って車をきれいにしてあげても良いかもしれません。ただ、ほんの一部の車は洗車機と車が接触してしまう場合もあるので必ず操作盤付近にある注意事項を確認してから洗車するようにしましょう。
上記の画像は、洗車機にかけることを控えた方がよい車の一例です。なんだか見覚えのあるスポーツカーが…
また、掃除機が設置されているところもあります。私の勤務先では、100円入れると5分間使えるようになっています。なかなかご自宅の掃除機などでは、車内の砂やほこりまできれいにすることは難しいですよね。是非、使ってみてくださいね。
給油業務限定のガソリンスタンドでは不可能ですが、それ以外のほとんどのガソリンスタンドでは手洗い洗車をスタッフに依頼できます。「ただ洗ってもらうだけ」でも十分きれいになります。泡をかけて洗車機では洗いきれない細かいところまできれいにして、拭き上げをしてホイールもきれいにして…と、洗う側としてはやることが多くて大変ですが、お値段は2000円前後であることが多いです。
高いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、拭き上げまで丁寧にすると結構時間がかかってしまうのです。いつもお待たせして申し訳ありません…とはいえ、きっとご自身で洗車されるよりも格段に速く、格段にきれいになります。ただし、正直に申し上げるとスタッフの腕次第なところもあり、洗車を依頼するところは決めておくのが良いでしょう。洗車って、簡単そうに見えて結構難しいのです…
また、車内清掃やコーティングを依頼できます。こちらを魅力的に感じる方もいらっしゃるでしょう。最近ではKeePer技研のロゴを、大きく掲げたお店をよく見かけます。私も自分の車に施工したことがあるのですが、KeePerのコーティングは実感できるレベルで効果があります。少しお値段が張るのが「たまにきず」ですが、車を長くきれいに乗りたいという方にはおすすめです。
もし行きつけのガソリンスタンドがピットを持っているようなら、車の整備を依頼することができます。整備とまでは行かなくとも、簡易的な点検だけなら無料で行ってくれるでしょう。空気圧の点検や、オイル量が減ってしまう車ならオイル量の点検および補充、また、バッテリーが弱っているかどうかの点検も出来ることが多いです。車について困ったことがあれば、整備士がいるガソリンスタンドで聞いてみてください。
ガソリンスタンドでできる整備としては、オイル交換・タイヤ交換・タイヤ脱着(ホイールにつけたまま、タイヤを交換する)・バッテリー交換等、日常で必要となる整備は一通りできます。もし認証工場、もしくは指定工場の認可を受けている店舗であれば、分解整備と呼ばれる高度な整備も依頼できます。よくあるのはブレーキパッドの交換や、足回りのダストブーツ類の交換などですね。オイル交換を依頼したら他に交換推奨部品が見つかって、後日交換になるということもままあります。
意外と知られていないのが、車検です。車検は、ディーラーに持ち込む方が多いですよね。ガソリンスタンドでも整備をして車検を通すことができる店舗もあります。“認証工場”と“指定工場”の認可を受けている店舗です。一般的に、ディーラーに依頼するよりも基本料が安く設定されています。
認証工場の認可を受けている店舗が車検の依頼を受けた場合、その店舗で分解整備も含めた点検整備をしてから運輸支局や指定工場などの車検場に車を持ち込んで車検を通し、お客様に納車するという流れになります。運輸支局への往復分があるので、少しだけガソリンが減った状態で帰ってきます。もし、それが気になる方は指定工場に依頼しましょう。
指定工場には、検査員が常駐しています。店舗内で点検・整備を行った後に運輸支局への車の持ち込みをすることなく、常駐している検査員が車検を更新できるためです。また、平日しか営業していない運輸支局へ持ち込む必要がないので、土日でも車検を通せる店舗も多くあります。
もちろん一部の店舗に限った話ではありますが、実は中古車が買えます。ガソリンスタンドで車を買う場合、店舗側が、お客様がどのような車に乗りたいか、という要望に沿った車を業者専門のインターネットオークションで見つけ出し、仕入れてくるという流れになります。
私もそのオークションのサイトをちらりと見たことがあるのですが、1車種でもかなり多くの車が出品されていて驚いた記憶があります。もし次購入する車を探しているなら、相談してみてください。実際に、私の勤務先では半年に1台くらいのペースで車が売れていきます。また、カーリースなどを斡旋しているガソリンスタンドも多くあります。
ガソリンスタンドは“揮発油”という危険物を大量に扱う場所です。そのため一見危なそうに思えますが、消防法や建築基準法で厳しく構造が定められており、大地震が起きても倒壊したり、火災が起きたりしないようになっています。そのため非常事態時には、ガソリンスタンドに逃げ込むと安全です。緊急時に避難所として開放するガソリンスタンドも存在しています。
ガソリンスタンドの様々な利用方法をアルバイトの目線からご案内しました。実は知られていない利用方法もたくさんあったのではないでしょうか。近年、ガソリンスタンドでは競争が激しく、給油以外のサービスを展開することで生き残りをはかっています。給油する機会に、自動車に係る多くのサービスを提供することで顧客の囲い込みする作戦ですね。是非、有効活用してすてきなカーライフを過ごしてください。ご精読ありがとうございました。
執筆:名古屋大学体育会自動車部