私たち人間は、この地球上を支配するために、他の動物を圧倒的に凌駕する知恵をつけ、蓄え、磨き上げてきた。長い年月をかけて様々な文明の利器を生み出し、その進化は今もなお、とどまることを知らない。
それに伴い、今日までに様々な資源が発見され、専門家たちの研究によってさらに新しいものが生み出されている。その中で今回は、自動車の廃車と非常に深い関わりを持つ「鉄」という資源について注目してみよう。
鉄は「資源の王様」と呼ばれるほど、現在、ありとあらゆる目的で利用されているのはいまさら言うまでもない。自動車をはじめ、飛行機、鉄道、船舶といった乗り物からビルや住宅などの建造物、もっと身近なもので言えばテレビや冷蔵庫などの電化製品から鍋、包丁など日用雑貨まで利用され、どれももはや私達の生活に欠かせないものばかりである。
鉄は安価でいて、加工が容易く、それでいて非常に硬いという性質から、現代においても非常に広い用途が存在するのだ。そして、さらにこの鉄の注目すべき点が、「再利用」、つまりリサイクルに非常に適している資源だというところであり、その主力に「鉄スクラップ」と呼ばれるものがある。
現在、世界の鉄鋼生産量は年間13億トンを超えると言われているが、その中で鉄鉱石と石炭を高炉と呼ばれる溶鉱炉で溶かして精製する、いわゆる「新品の鉄」というのは、およそ8億トンで、残りの5億トンはこの鉄スクラップを主原料として、電気炉と呼ばれる炉で溶かして再利用して作られたものなのだ。つまり、鉄鋼の総生産量の内、およそ4割近くはリサイクル品であるということがわかる。この鉄スクラップはいくつかの区分によって分けられている。
まずは大きく、自動車などを含む鉄鋼製の機械や、建物解体からなどから出たものを「市中スクラップ」、新しく鋼鉄から製品を作るために精製や切断加工する製造過程で出たものを「新断スクラップ」又は「加工スクラップ」という2種類に分けられる。新断スクラップは、新しい自動車や機械を製造する過程で出たものを流通させるので製造工場からしか発生しない。
つまり一般的に流通しているのが「市中スクラップ」の方である。そして市中スクラップはここからさらに細かいグレードに分類される。
既に鉄で作られた製品が老朽化して製品としての役目を終えたものを「老廃スクラップ」と呼び、廃車などの自動車スクラップはこの老廃スクラップに分類され、一般的に私達が想像するスクラップもこちらに当たるわけである。
老廃と言ってもゴミでは無く、廃車工場では、その用途により鉄の塊のような硬い鉄製品から、自動車の外装のように薄い鉄製品まで、特A級・A級・1級・2級・級外・シュレッダーA級・シュレッダーC級等々の、数十種類のグレードに分別してリサイクルされている。
このような鉄スクラップは様々な製品に生まれ変わり、私たちの生活を支えているわけだが、こうした鉄のリサイクルは、限りある資源を大切に使うという目的の他に、環境を意識した取り組みが大きいとされている。
例えば、新しく鉄を製造する際に、天然資源の鉄鉱石を原料とした場合には高炉を使用するわけだが、この時に鉄鉱石に含まれている酸素分を取り除くために「コークス」という石炭を蒸し焼きにした燃料を使用する。
そのため、多量の二酸化炭素(CO2)を排出することになる。それに対して、鉄スクラップを利用する場合には電炉での精製が可能な為、鉄スクラップを溶解するための電気エネルギーだけの消費で済む。これによって二酸化炭素(CO2)の排出は高炉に比べおよそ1/4まで減少させることが可能なのだ。
貴重な国内資源である「鉄」のリサイクルは今後、更に深刻化が予想される地球環境への負荷を軽減するための有効な手段でもあるといえるのだ。
私たちミスター廃車マンは、廃車になる車の鉄を、リサイクル資源として大切に活用している。大破した車や傷ついた車、ボロボロの車などにも、その大事な鉄は含まれている。私たちはその鉄にも価値を見出し、どのような状態の廃車も買取っている。